Entrance for Studies in Finance

CDS規制論議について

店頭デリバティブ(店頭デリバ OTC derivatives)の規模が拡大している。BISが3年ごとに取引実態をまとめている。
2001年6月末現在想定元本99兆7000億ドル。
2004年6月末現在想定元本220兆ドル(全体の8割が金利関連 その次が外為関連)。
2007年6月末現在想定元本516兆ドル。
この店頭物のほか取引所のものを別途集計している。

金利スワップ 変動金利 → 固定金利
       固定金利 → 変動金利
為替相場
商品相場(原油)
天候デリバ(気温 降雪量 降雨量)
地震デリバ(震度)
信用デリバ

日銀でも想定元本調査。1998年6月に調査開始。大手銀行対象に相対取り引きによるもの。
2004年末で16兆8000億ドル(日本でも全体の8割が金利関連14兆4000億ドル 外為関連は2兆3000億ドル)。取引所取引は4兆9000億ドル(円金利先物の売買が低迷)。

CDS規制論議
この店頭デリバのうちCDSについて規制論議が高まっている。背景にはAIGがCDS(credit default swap:市場規模は2006年末で約26兆ドル 2007年末のピークで62兆ドル 保証料率を取引 なお債券の形にしたクレジットリンク債もある)で巨額損失を被ったことがある(CDS市場の問題は2008年秋のリーマン破たん以降の金融危機複雑化の一因になった。CDS取引がマヒ状態に。そして政府がAIGを救済)。

破たんは連鎖するのでリスクの分散がしにくい(しにくくなる)。

問題の性格としては取引相手の破たん問題counter party riskとも。とすればこの問題は相対取り引きの店頭デリバに共通した問題。
そこで透明性の向上のために清算機関活用。売買の履行を保証する清算機関の活用、取引データベース(取引記録)の整備。開示強化。また清算機関を監督下におくことなどが議論されている。

課題の一つは清算機関を設け、取引の透明性、安全性を高めること。
2009年3月 ICE(インターコンチネンタル取引所)CDS清算業務に参入
2009年12月 CMEグループが2009年12月15日までにCDS清算機関(リスクがみえやすくなる)をたちあげる GS JPモルガンチェースなどが参加予定
しかしこうした強制には証拠金負担に反対の声もある。

しかし2009年9月のG20で遅くとも2012年末までにすべての店頭デリバを中央清算機関通して決済することで合意。つまり規制を店頭デリバ全体に広げることが国際的に合意されている。金融庁はCDSについて清算機関の利用義務付けを検討進めているが、店頭デリバ全体への対応が遅れている。

背景には日本国内の反対論がある。
日本だけではないがCDSの想定元本80兆円に対して金利デリバの想定元本は2300兆円と金利デリバが圧倒的に大きく影響が大きい, 金利デリバの利用目的は主としてリスクヘッジというもの。

なお2010年3月下旬のEU首脳会議では、国債CDSについての空売り規制が検討されたようだ。これには英米が反対している。

米当局の店頭デリバ規制, 2009年5月13日 ロイター
金融庁の店頭デリバ規制, 2009年12月17日 ロイター

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