Entrance for Studies in Finance

Case Study: Suntry サントリー

 サントリーHDが米蒸留酒最大手のビーム社(2011年に住宅関連用品複合企業から分離上場)を総額160億ドル(1兆6500億円)で買収することを発表した(2014年1月13日 買収価格はEBTDA比で20倍 一般的に10倍強とされるので割高とされる 過去3ケ月の平均株価の24%高の水準 2014年4月30日付けでサントリーによる取得手続き完了。ビームの社名はビームサントリーとなる。米シカゴにあるビームサントリーに蒸留酒部門を年内にも一本化するとのこと。)。正直、サントリーにはたびたび驚かされる。
田中博文氏のブログによれば
 通常の買収価格はEBTDA(営業利益+減価償却)の10倍程度。今回はそれが23.3倍とのこと。ソフトバンクによるスプリント買収は12倍ほどとのこと。
 買収後の債務の負担能力については純債務/EBITDA 買収前は2倍程度だったがこれが1兆円借入が増えるとして7.5倍にはねるとのこと。この数字は5倍程度が限界とされ、ソフトバンクのスプリント買収の場合は3.6倍。2014年5月1日買収手続き完了。
 なお買収資金のうち銀行からの借り入れ早く8000億円で三菱東京UFJ銀行からのもの。このうち3000億円は返済優先順位の低い劣後ローンとする。残る5000億円の違いが多いところですが  このビーム買収の効果を加えて、2014年前半期 サントリーはビール大手4社のなかで売上高営業利益ともにトップになった。欧州での経営の立て直しがうまくいったとのこと。ブランドの絞り込み、販路の選別を進めたことや製薬大手から2013年に買収した飲料ブランドの効果もでたとのこと。
 サントリーで驚かされたのははさらに2014年6月 ローソンの新浪剛史会長を10月からの次期社長に招くと発表したことだ。創業家の佐治信忠会長兼社長は代表権のある会長になるとのこと。

ローソン(2月末の店舗数1万1000店 1日あたり平均売上55万円)で新浪氏(三菱商事 ハーバードBS)はROEを高くする目標を掲げた経営を行った。店舗の出店でも採算を重視。コンビニ業界(首位セブンイレブン 店舗数でローソンの1.4倍 売上で1日12万の差)のなかでROE PBRが高い経営をすすめた。ローソン(筆頭株主 三菱商事)の16% セブンレブンの9%(2014年2月)。
 セブンイレブン(子会社に・そごう西武 PBが好調 売上の6割が独自商品)の対比では2番手戦略といわれる。セブンに対して常に違いをうちだすことで自己主張してきたと。3番手がファミリーマート(2014年3月韓国撤退決める)。
 なお新浪氏の後任はファストリの社長も務めた玉塚元一氏(慶大法卒 旭硝子 日本IBM経て 2002年ファストリ社長 2010年ローソン入社)。CEOに就任して社長の肩書も復活とのこと。
 中国ビール事業拡大のため青島ビール(山東省)と提携。合弁会社設立へ。

 一つは2010年2月のキリンとの統合交渉の破談
 2012年10月にペプシコのベトナム現地法人への51%出資(買収 買収額は200億円程度 事業開始は2013年春を予定)発表。東南アジアでは2011年にインドネシアに合弁会社サントリー・ガルーダ・ビバレッジを設立済み。東南アジア展開を加速。
 2013年7月のサントリ―食品インターナショナル(SBF)の上場。
もう一つは2013年7月のサントリー食品BFの上場(さらに2013年9月サントリー食品による英グラクソスミスクラインの飲料事業買収 投資額2100億円)。
 そして今回のビーム買収。ビール(国内3位)よりは利益率の高い蒸留酒(ビールに比べて値崩れしにくく利益率が高い)での拡大を選択した(買収により蒸留酒で世界第10位から第3位に浮上 売上高が3000億円以上に追加されるので、2014年12月期の連結売上高は2兆4000億円規模になりキリンHDを抜く。)ビームの世界的な販売網も役立つとされる。
 社内的には飲料部門が拡大して種類事業の1.8倍にまで拡大していたのが、ほぼ互角になる効果もある。このように種類と飲料の双方で有力ブランドをもつ企業は世界でもユニークとのこと。問題は事業モデルの違いのなかでの連携が一つ。次の問題は親会社の財務体質の悪化がSBFに及ぼす影響についての懸念の払しょくの必要。
 背景には世界のビール市場はあまりに巨大で買収は困難との判断もあるとのことで、豪州やブラジルでなおビールでの拡大を進めるキリンとは対称的だ。サントリーによる買収としては2011年のオランジーシュウェップスG買収(約3000億円 買収後欧州の販売不振で減収減益)を上回る過去最大規模の買収(日本企業による買収としてはソフトバンクによるスプリント買収 216億ドルに次ぐ規模)。
 サントリーの海外売上高比率は21%(2012年12月期)から32%に上昇するとのこと。
 買収資金は手元資金のほか 三菱東京UFJ銀行単独から1兆円規模を調達するとのこと(イベントファイナンス つなぎ融資 最長1年 160億ドルの8割以上=1兆3200億以上 1兆4000億円規模 銀行法による制約 銀行の自己資本の40%まで 約6兆円)。過去最大級の単独貸付。
 買収完了後に長期資金(協調融資あるいは増資など)
実質無借金企業の巨額借金によりサントリーHDは格下げのリスク高い。ほぼ無借金経営がDEレシオが約1.5倍に拡大。
 反面 売上高2兆4000億円でキリンを抜いて飲料業界トップに。飲料と酒類の双方で存在感のあるユニークな存在に(世界の企業はいずれかに特化している 飲料のコカコーラやペプシ、ビールのアンハイザーブッシュインベブ 蒸留酒のデイアジオ・・・それだけ両者の連携は困難が予想される)
 2013年9月 ソフトバンクによるスプリント買収 1兆9800億円 3メガ ドイツ銀行など
      LIXILによる独企業買収 1600億円 三井住友銀行など

0riginal in Feb.15,2014 
Revised in July 15, 2014
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「Economics」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
2024年
2023年
人気記事