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Entrance for Studies in Finance

浅野幸弘と安達智彦の株価尺度論(1996-1997)

浅野幸弘『投資家から見た株式市場』中央公論社、1996
安達智彦『株価の読み方』ちくま書房, 1997
浅野さんはPERの高さを保障するのは、投資機会=フランチャイズファクターだといっている。わが国のような成熟経済でフランチャイズファクタ-が広範に存在するはずはないとしている。PERではなくPCFRでみるべきだという議論については、PCFRに切り替えても米国に比べて大きな数値になることは変わらない。減価償却が大きく余計にコストをかけていることは資本にとって利益が低いことを意味するとしている。株式持合いの慣行はPERを押し上げている可能性がある。また株価をみるとき、株主が受け取るのはあくまで配当であるので配当割引モデルから出発するべきだとしている。(浅野さんの本 第3章)

安達さんの本では 投資尺度の変遷のところ(第2章)がおもしろい。まず配当利回りは配当狙いの投資家がいるので指標として一定の有効性がある。つぎにPERは成長性の指標として使える(割引率が変化しなければPERは成長率に依存するとしている)。つぎにROEは企業評価のグローバルスタンダードなどといわれるが(いろいろ問題がある)。ROEには①株主の期待する収益率という意味での資本コストが反映されていない。②株価がまったく考慮されていない。株価の割高割安の判断ができない。③株主が負担するリスクの大きさに応じて変化するリスクプレミアムが反映されていないので、リスクの異なる企業間の比較に使えない。④ROEの水準は資本構成、会計上の自己資本比率の大きさによって変わる。そこで資本構成が等しくない限りROEによる株式銘柄間比較は意味をなさない。・・・実証研究においても、ROEの水準とその後の株価変化率の関連性は薄いとされている。これに対してEVAはROEに比べてはるかに優れた尺度である(資本コストを計算するとき時価評価した投下資本×加重平均コスト そしてEVA=税引き後営業利益ー資本コスト)。(安達さんの本 第2章)。

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