元外為トレーダーの夫人はスイスフランがドルやユーロに対して急上昇していた2011年8月、40万スイスフラン分ドルを購入。
2011年9月にスイス国立銀行がスイスフラン売りの無制限介入でスイスフランを1ユーロ1.2スイスフランに事実上固定する通貨政策を導入したことを受けて10月に、スイスフランに買い戻して相当の利益をえたとのこと(2ケ月で約600万円)。(スイス国立銀行は前年2010年の介入で巨額損失を計上。2011年は量的緩和 ゼロ金利政策を行うも スイスフラン高が進行した。そのため国立銀行に批判は高まり、無制限介入に追い込まれた)
この事件は不可解なのは、まず夫人が自分の行動の倫理性を反省しなかったこと。つぎにヒルデブランド氏が夫人の取引を知らなかったとすることだ。果たしてそれはありうることだろうか。知っていたとすれば個人の利殖のために、国家の通貨政策を利用した空前のインサイダー取引になる。知らなかったとしても、夫人の得た利益は総裁の利益でもあり、倫理的問題の深さは測りしれない。夫人のこの取引以外の外国為替取引の全容は明らかになっておらず、この以前にも巨額の利益を上げていた可能性もある。総裁の辞任は当然だ。
しかし中央銀行総裁夫人がインサイダー取引をするスイスという国のでたらめさには呆れざるを得ない。ヒルデブランド氏のもとでスイス国立銀行はスイスフランの高騰への対応に奮闘。2010年上半期にも大規模な介入を実施。2011年夏には短期金融市場でマイナス金利になるほどの徹底した金融緩和でスイスフランの上昇を一時は抑え込んだ。しかしそうした「功績」も、夫人によるインサイダー取引ですべて消え去ったといえる。ヒルデブランド氏は夫人のインサイダー取引で儲けた中央銀行総裁として歴史に残ることになった。
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