斯く語りき

思ったこと、感じたことを書いています。

勢いだけのツケは大きかった訳ですね

2019-03-10 21:00:00 | 社会部

レオパレス 退去求められた人の引っ越し始まる

レオパレスが勢いよく建築ラッシュになっていた頃が懐かしいくらいです。あの頃は本当に空き地さえあれば彼らがボンボンとアパートを建てていたのに、まさか半世紀もしないうちに反撃を喰らうとは当時は夢にも思わなかったと思います。

ただ、根幹である日本経済が完全な泥舟である以上、そこで大きな躍進をするには相当のインチキをしなければならなかった訳です。それがバレなければ良かったかもしれませんが、やはり泥舟なだけに綻びは簡単に出てきてしまうんです。

日本経済が好調の時は多少の無理も跳ね返せました。否、そもそも好景気であればインチキどころか建築資材に投資ができる(それだけの投資をしても即取り戻せた)訳ですから頑強な建物を作ることができたんです。未だに現存する築年数の多いアパートなどは余程のものでない限り当時の資材に良いものを惜しみなく投入していたのですから、果たして最新設備を誇る新築が全て正しいとは言えない訳です。

また、資材だけあっても建てるには職人さんが必要になってきますが、好景気の時は余裕があるだけに後進の育成も同時に行えた訳で、そこで育った人たちの多くが現在のヴェテラン職人として舵取りをしています。然し乍ら、彼らの後進育成が進まず、その皺寄せも出てきています。若い世代が必要なのに彼らを丁寧に育てることができない。とにかく納期までに仕上げろという言葉しか言われず、それに少しでも反論すればヴェテランであっても職を失う時代です。

こんな背景の中で頑丈な建物なんてできる筈がありません。況してや若い世代も経験不足の中で作業をさせられているのですから尚更です。

そもそも新築物件を建てる需要が何処にあるのか判らないのにバカスカ建てていることからして間違っているんです。

少子高齢化が大前提なのに、何処の誰が家を買ったり賃貸物件と契約するのでしょう。当然、買うにしても借りるにしても保証人が大概に於いて必要ですが、それすら満足に行えず保証会社が当たり前に存在している時代です。いまは辛うじて其れでも動いていますが、若い世代がイニシアチブを握る頃には其れすらも機能しなくなるでしょう。

無理して背伸びをせず、現在ある建物をリフォームして使い続けるという選択肢を選んでいたらレオパレスなんて存在しなかったでしょう。新築で建てるよりリフォームの方が遥かに安上がりであり、将来への負債も少ないのですから、そのぶん家賃を安くして提供できる訳です。如何なる建物であれ、住居があれば職を得るのに困りません。昭和世代が若い時分に安アパートから社会へ出発した様に、現代の若者にも住む場所を安く提供するべきなんです。

今回の件で、昭和世代の行いを支える神通力がなくなってきていることが改めて浮き彫りになりました。禅譲を急ぐべきではないでしょうか