「心を動かして性に忍び、その能くせざりし所を益(よ)くせしめんがためなり。」
これを現代語にしますと「それは人の心をゆさぶって忍耐を育て、それまで出来なかったことを、出来るようにさせるためである。」となります。
この言葉は「孟子 告子章句下 十五」の中にあります。
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将降大任于斯人也、必先苦其心志、
労其筋骨、餓其体膚、
空乏其身、行拂乱其所為、
所以動心忍性、益其所不能。
人恒過、然後能改、
困於心、衡於慮、而後作、
徴於色、發於聲、而後喩。
天が地上の人に大任を下そうとするとき、まずその人の心を苦しめ、
肉体を苦労させ、餓えに苦しませ、
体を弱らせ、しようとすることをしくじらせる。
それは人の心をゆさぶって忍耐を育て、それまで出来なかったことを、出来るようにさせるためである。
人は大抵過ちを犯すが、そうした後はじめて自分を改めることができる。
心に苦しみを感じ、いろいろ思案をめぐらせて、そうした後はじめて発奮することができる。
苦悩が顔に表れ、声を発するようになって、そうした後はじめて道理を悟ることができるのである。
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自分が困難にぶつかったとき、それは「天が与えた試練と考えなさい」、というメッセージです。
何をやっても結果に結びつかないとき――。一般的に「スランプ」と言います。
でも、まだ、始めたばかりの人が「上手く出来ない」という状態はスランプとは言いません。
あるレベルや実績を積み重ねてきた人が「上手く出来ない」という状態がスランプです。
そのスランプに対処しようとすると、状態は一度達成したレベルにしか戻らないですよね。だって、まずは、そこを目標としてしまうのですから。でも、スランプは現状レベルからステップアップするための過程だと考えてみるとどうでしょうか。
つまり次の段階にレベルアップするために試行錯誤している状態ということです。頭はともかく、身体はレベルアップしたい。そのギャップがスランプだと考えてみるのです。身体は成長を求めている、だけど頭は満足している(またはその逆)。それが上手く出来ていないのだと考えます。
イチローは「スランプこそ絶好調」なんて言葉を残しています。
それは自分にとってスランプが、今まで自分を成長させてくれた大きな要因という思いがあるからだそうです。それと「10回やって3回成功すれば一流という世界では、7回の失敗の可能性を、これからも追い求めていきたいと思っているんです」と言っています。
凡打が続き落ち込んでいると、次の打席もその空気に引っ張られて凡打してしまうからだろうか。イチローは、失敗することにさえ喜びを感じ、その分析を欠かさないのだ。
また、イチローは中学生からスランプ対処法を聴かれたときに「対処しないことです。辛いけどそれでやって下さい」とも答えています。その後に「簡単に見つかったら苦労しません、自分で見つけて下さい」と続けて言っています。
つまり、判らなくて、辛くて、簡単じゃなくて、嫌な事だけど、やり続けるしかなくいでしょう。でも、きっと自分で見つけることができるということだと考えます。
一度達成したレベルから次の段階に進むためには、一旦成立したバランスを崩す必要がある。そうすると、今までうまくいっていたこともうまくいかなくなる。でも、それを乗り越えて新たなバランスを見つけなくてはならない。それを一言でいうと「変わらなきゃ」になる。新たなバランスが見つかるまでは、どうしたらいいのかわからない。それがスランプだ。
それと、「まず、身体をゆっくり休めて、野球がやりたくなるまで待ちます。」ということも言っています。そういえば、「ドカベン」で山田太郎がスランプに陥った時に、キャプテンの岩鬼が一切バットを握らせなかったことがあり、その後、スランプから脱したというエピソードがありました。
好きなことだから、そう簡単に諦める訳には行きません。好きだからこそ、少し離れて、やっぱり“やりたい”という気持ちを充分に感じて、気持ちを切り替えてから、新たな気持ちで行動するのもいいことだと考えます。
「将降大任于斯人也、必先苦其心志、」
「天が地上の人に大任を下そうとするとき、まずその人の心を苦しめ、」
試練は越えられる人にしか与えられません。
高いモチベーションを維持して努力を積み重ねれば、必ず成功に突き当たります。
「所以動心忍性、益其所不能。」
「それは人の心をゆさぶって忍耐を育て、それまで出来なかったことを、出来るようにさせるためである。」
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