首都大学野球連盟は3月1日にピッチャーの故障予防の一環として、今春季リーグから投球数を"制限"する施策の導入を発表しました。ただし、あくまでも「ガイドライン」として罰則は設けません。野球の国際大会では既に採用されており、日本では高校野球を中心に話題になっていますが、ガイドラインと言えども、具体的に施策として導入するのは、大学球界では異例の試みとなると思います。
「投球数ガイドライン」は以下のとおりです。
1. 先発1戦目は投球制限をしない
2. 2戦目は、前日に121球以上投げた場合は、50球までとする。ただし、投球中に50球を超えた場合は、イニング終了まで可とする
3. 1戦目で120球以下の場合は、連投を妨げない
4. 雨天で1日空けた場合は、制限を設けない
ちなみに、昨年のWBCでは
1. 1次ラウンドは65球、2次ラウンドは80球、準決勝と決勝は95球。打席中に制限に達した場合は、その打席完了まで投球できる
2. 50球以上投げたら中4日、30球以上か連投した場合は、中1日を空けなければならない
なお、日本中学硬式野球協議会は
1. 練習の全力投球は1日70球以内、週350球以内とする
などとなっています。国際大会のU-18(高校生年代)でも投球数制限を設ける動きがあるそうですが、肉体的にも成熟しつつある大学生年代には動きはないようです。
首都大学野球連盟では、2013年10月の「第1回医科学専門プロジェクトミーティング」で、投球数制限の是非について検討を開始しました。その後「医科学専門プロジェクトチーム」を立ち上げ、2012年秋から昨秋までの全チームのリーグ戦での投球数などを調査しました。事務局は「選手を育てていくという観点から導入することになった」と経緯を説明しています。首都大学野球連盟には、体育教員を養成する日体大や、医学部を持つ筑波大、東海大が所属していることを考えると、連盟としての特色が出ていると思います。
日体大・古城隆利監督は「ピッチャーのことを考えれば、球数制限があってもいいと思う。『首都はピッチャーのことを考えてるよ』と思ってもらえたら」。一方、東海大・安藤強監督は「プロ、社会人では連投がある。それを考えると『どうかな』という思いもある」と導入についてコメントしています。
他の大学野球連盟では東京六大学野球連盟・事務局は「選手を故障から守るという取り組みは大事なことだが、約2ヶ月半のリーグ戦で行われる大学野球では、そこまで連投を強いられることはない。現時点で、そのような方策を検討する予定はない」、東都大学野球連盟・事務局も「東都では複数の先発投手にリリーフと戦力が整っているチームが多く、1人が酷使されるケースは少ない。投球数制限の導入は考えてない」と、導入は考えていないようです。
でも、ほとんどの大学野球連盟では1チーム2戦固定の勝率制か、2戦先勝方式の勝点制でリーグ戦を戦っています。多くて3連戦、少なくても2連戦であり、次の対戦相手との試合間隔は1週間ほどありますので、1人または2人の強力なピッチャーがいればある程度計算できます。
それだけ、ピッチャーの肩を消耗することになったりします。例えば、元;読売ジャイアンツの江川卓さん、現;北海道日本ハムファイターズの斎藤佑樹選手など。それに気になるのが、最近のドラフト指名の大学生ピッチャーにケガが多いとおもうのですが。
選手のことを考えて、一歩を踏み出した首都大学野球連盟に続いて投球制限の規定導入に手を挙げる団体が出てくることを希望します。