今年の年頭にプロ、アマ合同の日本野球規則委員会が開かれ、公認野球規則からいわゆる「2段モーション」を反則投球とする項目が削除され、これまで禁止されていた「2段モーション」が唐突に解禁の方向になりました。 理由は、また「国際化」ということでした。この12年間はなんだったのでしょう。
2段モーションの議論は、昨年8月に埼玉西武ライオンズの菊池雄星選手が2試合で計3回の反則投球宣告(ボーク)を受けたのが発端とみられており、東京ヤクルトスワローズの小川泰弘選手、千葉ロッテマリーンズの涌井秀章選手、石川歩選手、東北楽天ゴールデンイーグルスの高梨雄平選手など、他にも2段モーションについてグレーなピッチャーがいたにもかかわらず審判によって判断の基準があいまいであったのも事実です。よって、日本野球協議会幹事会で、プロ側から「ルールを見直すべきだ」との意見が上がったとのことです。
そもそも2段モーションの厳格な禁止ルールは、アテネ・オリンピックやワールド・ベースボール・クラッシック(WBC)の経験から「国際化に対応する」との理由で2006年から本格導入されたものでした。当時に2段モーションの警告を受けてフォーム修正を余儀なくされた阪神タイガースの藤川球児選手、横浜ベイスターズ(当時)の三浦大輔選手、東北楽天ゴールデンイーグルス(当時)の岩隈久志選手、福岡ソフトバンクホークス(当時)の斉藤和巳さんなど、投球フォームの修正に苦労していたのは、なんだったのでしょうか。
そもそもMLBでもMLB規則にのっとったWBCなどの国際ルールにも「2段モーション禁止」などは明記されておらず、2016年にメキシコで開催された国際大会で、球審を務めた日本人審判が、2段モーションによる反則投球を宣告したところ、他の塁審から「ルールにない」と指摘され、撤回したケースがあるように、12年前の導入理由にも無理があったのです。
2020年東京オリンピックを控え、国際標準に対応する狙いもあり、2段モーションの規制緩和となったという見方はあります。
しかし、これで日本の野球界もルールが一本化されたかというと話は別です。
軟式野球がどうなるのかは分かりませんが、2段モーションがOKになるのはプロ野球・社会人野球・大学野球であった、高校野球では従来どおり「反則投球」とするそうです。日本高野連は「高校野球では、正しい投球を指導するべきだと考えた」と説明しています。
同じ野球というスポーツなのですが、日本では相変わらずルールの統一ができません。これでは真の国際化なんてことはいつまでたっても出来そうもないように思えるのは、私くらいでしょうか。