何かと話題のナイキの厚底シューズ「ヴェイパーフライ」。
靴底の特異な分厚さや、内蔵するカーボン(炭素繊維)プレートの高い反発力が、競技の公平性を損なうという理由で、早ければ2020年1月末に世界陸上連盟がナイキの厚底シューズを禁止すると報じられています。
一方で、アシックスとミズノも対抗するシューズを開発中であり、箱根駅伝ではミズノの「真っ白なシューズ」が10区で区間記録を出しています。アシックスは今春に新製品を発売し、ミズノも今夏の新製品発売を目指しているそうで、両社のプロトタイプは靴底の厚さが一般的なシューズの範囲内とし、内蔵プレートはカーボン製ではないそうです。
なお、ナイキの厚底シューズは2017年から発売されており、機能の向上もあって、ここで注目されているのですが、今からさかのぼること約30年前。「翔ッ靴」の名で1989年に出願して日本の特許を取得しているのが、「フライングシューズ(通称:ピョンピョンシューズ)」です。
これは、日本の発明家、実業家である、中松義郎(通称:ドクター中松)さんの代名詞的発明であり、ある年代以上の方は、ドクター中松さんがTV出演時にこれを履いて登場した場面を見たこともあるでしょう。
「スーパーピョンピョン」は靴底にバネを付けた特殊シューズで、普通の靴に取り付けることができ、バネが衝撃を吸収し、前進するエネルギーに変えるそうです。
HPでは税込み20,130円で販売されており、2020年の箱根駅伝が行われた際には、ドクター中松さんが公式ツイッターで、「駅伝の記録が伸びた理由はドクター・中松のフライングシューズ理論だった」とつぶやいています。
ほかにもドクター中松さんはいろいろなものを発明しており、自称「これまでの発明件数は3,000件以上であり、トーマス・エジソンさんの1,093件を上回り世界一」だとしていますが、エジソンさんの1,093件というのは米国内で取得した「特許取得」の件数。ドクター中松さんによる日本国内の「特許取得」件数は193件とのことです。しかし、それにしても立派な数字だと思います。
ちなみに、特許取得件数のギネス世界記録では工学博士の山崎舜平さんが2004年に3,245件の特許を取得したとして世界一に認定され、2016年には11,353件で再認定されています。
なお、ドクター中松さんは、「スーパーピョンピョン」を履いたまま旅客機に乗り込もうとして、ピョンピョン跳ねた勢いで天井に頭をぶつけてしまい、「頭が悪くなったらどうしてくれる」と怒ったというエピソードを持っているそうです。
公式HPによれば、
○ジョギングでは、足・膝・踵・腰・頭・内臓などに体重の3倍×70%の衝撃が加わり非常に健康に悪く、衝撃で頭にもよくありません。ドクター中松スーパー・ピョンピョンは、その衝撃を靴の下のバネが吸収し身体に衝撃を与えないので健康や頭にも良いのです。
○吸収したエネルギをバネに蓄え、これを前進するエネルギに変えるので渋滞の車より早く走れます。
○エネルギを時差で無理なく筋肉に分散しますのでダイエット効果が上がり、わずか10分の運動で30分並の効果があります。
と記されています(「エネルギー」ではなく「エネルギ」なのですね)。
ドクター中松さんの理論でいけば、厚底シューズを履けば、少しは「頭」が良くなるようです。私も、いまさらですが、厚底シューズを履いてみようかなと思った次第です。