「アルキメデスの原理」とは、古代ギリシャのアルキメデスさんという人が発見した物理学の法則です。「流体中の物体は、その物体が押しのけている流体の重さ(重量)と同じ大きさで上向きの浮力を受ける」というものです。
なぜ船が海に浮くのかと疑問に思ったことはあると思います。普通、自分が海に飛び込んだら沈むのに、自分よりも重たい船はなぜ沈まないのか、疑問に思ったことはありませんでしょうか。この疑問を解決してくれるのがアルキメデスの原理です。
アルキメデスの原理とは、「物体は、その物体が押し出した水の重さに等しい浮力を受けるという法則」のことになります。
この法則の発見は、ギリシア人の植民都市のシラクサの僭主ヒエロン2世が金細工師に金を渡し、純金の王冠を作らせました。ところが、金細工師は金に混ぜ物をし、王から預かった金の一部を盗んだ、という噂が広まりました。そこで、ヒエロン2世はアルキメデスさんに、王冠を壊さずに混ぜ物がしてあるかどうか調べるように命じます。アルキメデスさんは困り果て、ある日、風呂に入って、ぼーっとしていたところ、湯が湯船からあふれるのを見て、その瞬間、アルキメデスの原理のヒントを発見したと言われています。
このとき、浴場から飛び出たアルキメデスさんは「ヘウレーカ、ヘウレーカ」(分かったぞ、分かったぞ)と叫びながら裸で走っていったという伝説が残っています。最も、この時代のギリシアでは、男性は裸で運動するのが普通で、裸で外を走っていても別に珍しくはありませんでした。
アルキメデスさんは、王冠と同じ重量の金塊を用意し、これと王冠を天秤棒に吊るしてバランスを取り、水を張った容器に入れました。空気中では天秤棒は、てこの原理によりバランスが保たれます。てこの原理は水中でも変わらないので、金塊と王冠を水中に沈めても、天秤棒のバランスは保たれるはずです。しかし、水中でのバランスが崩れたために、王冠と金塊の比重が違うということが判明し、金細工師の不正が明らかになりました。
まず、自分がお風呂に入るときのことをイメージしてください。
湯船いっぱいにお湯をはります。そしてその中に、頭までつかってみましょう。当たり前ですが、お湯はあふれ出てきます。このあふれ出たお湯の重さを量ってみると、湯船につかっている自分の体重と同じ重さになります。つまり物体が水に入ると、入った物体の重さの分だけ水が押し出されるということです。
そして水につかった自分の体は、自分が押し出した水の重さに等しい浮力を受けることになります。押し出せば押し出したほど、大きな浮力を受けるということです。浮力を大きくするためには、重さと浮力を受ける面積が大きいということが必要になってきます。
自分は海に沈んで、船が海に沈まない理由はここにあるのです。これは水中だけではなく、空気中でも起こる現象です。このことをアルキメデスの原理と言います。
これがアルキメデスさんの発見した浮力の原理です。金細工師の名は知られていないですが、その後、処刑されたと伝えられています。
さて、今日は、難しい物理の話ではありません。
みなさんは脳が一番働くのはどんなときだと思いますか? 学校で授業を受けているときでしょうか? 参考書で勉強していることでしょうか? テストで問題を解いているときでしょうか? それとも、これから何して遊ぼうかと考えているときでしょうか? とりあえず、脳みそを使っている時が一番働いていそうです。でも、実は一番脳みそが一番働いているときは「ボーっとしてるとき」なのです。
実際、人間は意識的な活動をするときでも、脳みそは全体のおよそ5%前後しか使われていないそうです。そして、20%は細胞の維持、修復に使われてます。そして、残りの約75%はいつ動いているかというと、ボーっとしている無意識の状態のときなのだそうです。米国ワシントン大のマーカス・レイクル教授は、この無意識の脳の活動を「デフォルトモードネットワーク」と名づけました。
デフォルトモードネットワークには、人間にとって3つの役割があるそうです。1つめは「自己認識」。自分自身の性格について気づくことです。2つめは「見当識」。自分が置かれた状況を把握することです。3つめは「記憶」。物事を覚えることをいいます。
ボーっとしているときに、突然忘れていたことを思い出したりしますが、これはデフォルトモードネットワークの働きなのです。また、デフォルトモードネットワークにはよいアイデアを生み出す働きもあるようです。冒頭のアルキメデスの原理がいい例です。
このデフォルトモードネットワーク時の脳は、「瞑想」や「座禅」をしている時の脳の状態に似ているといわれています。瞑想とは、余計なことを考えず、物体や呼吸の感覚といった1つのことに集中する精神統一の方法です。スポーツ選手の中には、瞑想を利用して良いコンディションを保っている人が多いようです。また、一休さんが難問を解く時に座禅を組んでいますが、あれも同じなのかも知れません。
情報を詰め込みすぎてストレスが溜まった脳みそは、考えるパフォーマンスが落ちてしまいます。「ボーっとする」ことで、脳みそのストレスを適切に解放して、脳みその活動を元のフレッシュな状態に戻す効果があるといえます。
何か大事なことをずっと考えていて、脳みその中がごちゃごちゃなときは、脳みそを落ち着かせて熟考しましょう。
チコちゃんを叱ってみたい! ボーっと生きててもいいんだよ!