新潟県高校野球連盟は、昨年末の12月22日に全国に先駆けて、2019年の春季県大会で投手の球数制限を導入することを発表しました。地方の県高野連だからこそ出来る、思い切った決定だと思います。
・全国に先駆けて球数制限を設ける
・上限の球数は100球で春季大会限定
・100球に達した投手はそれ以降の回では投球できない
・甲子園の出場にかかわる夏、秋は実施しない
県高野連会長は導入理由を「ケガの防止とそれに伴う複数投手制の普及、少しでも多くの選手に出場機会を与えるため」「特にケガで野球を断念する選手をなくさなければならない」と説明しました。12月14日の県高野連評議会で決定し、各校の指導者には通達されており、「現場からも制度の必要性を願う声が出ていた」と専務理事は話しています。
県高野連では春季大会で実施後、科学的分析、選手、指導者の反応を調べ内容の検討を重ねる予定だそうです。ただ、必須となる投手の育成は「現場に努力をお願いした。各校の事情に応じてはケアも考える」と、こちらはあまり具体的ではありません。
新潟県の高校野球は、2018年の県大会出場校は87校82チーム(3チームが連合)とピーク時の約2割減少しています。また、2018年の秋季大会では20校が連合チームでの出場となりました。新入部員の数は、ここ2年間は1校平均4人ずつ減っているそうです。そのため、いろいろな対策が必要とされてきています。
実施は県高野連独自の決定で、日本高野連には後日連絡とのことです。「まずやってみる。この流れが全国に広がればいい」と県高野連会長は話しています。
という流れがあって、2019年に入っての1月9日。日本高校野球連盟は大阪市で業務運営委員会を開き、2018年12月に新潟県高野連が導入を発表した球数制限についての意見交換を行いました。これに先立ち、日本高野連は7日に新潟県高野連専務理事から結論に至った経過など事情を聴いたそうですが、プロセスの問題から、新潟が目指す今春の県大会での実施には否定的な意見が多かったそうです。
日本高野連事務局長は「全国に先駆けて、投手を故障から守りたいという姿勢は買っている。取り組みは間違っていない。タイブレークに続いて将来、踏み込んでいかないといけないこと」と理解は示したそうです。ただ、春、夏、秋の各大会は統一の「高校野球特別規則」の下で行われており、球数制限を設けるには同規則の改正が必要であることを強調したとのことです。
今春に実施するには時間が足りないといい、改正せずに認めるには、特例あつかいとする必要があるとのことです。事務局長は「各都道府県のバランスがとれない。タイブレークの時のように、(全国)同じルールの下でやるのが当然と考えている」と基本姿勢を明かしました。
日本高野連のいう公平論は分かりますが、新潟県高野連の「まずやってみる」という姿勢は大事なことだと思います。一歩を踏み出しませんと、何も改革されませんから。しかし、そもそもタイブレークだって導入していた地区としていなかった地区とかがあったと記憶していますが、そこのところはどうなのでしょう。
そもそも、昨年12月23日に日本高野連事務局長は、新潟県高野連の球数制限導入に「初耳です。新潟県高野連が思い切ってやるということでしょうが、想定外でした。春の大会は各県の高野連に裁量が任されているので。日本高野連としても、タイブレークを導入して、次は球数や回数制限について、今後議論が必要だと思っています」と話していました。ですから、新潟県が春季大会で導入することに関しては、何ら問題はないはずなのですが、公平論を持ち出すのは不思議です。
ただ、日本高野連同事務局長は「タイブレークの導入まで3年かかった。投球制限の導入はそれ以上に難しい問題だ。ファウルで粘れば、投手をつぶせる。あるとすれば、球数よりも回数だろう」という見解を以前示していました。このことは一理ありますが、国際大会では投球数制限を取り入れていますので、この流れはもはや無視するわけにはいかなくなることでしょう。
今後、日本高野連は2月20日の理事会で方向性を話し合う予定だそうです。
それでも、日本高野連は昨春の甲子園から、延長13回からノーアウト一・二塁で攻撃を始めるタイブレーク制を導入。今夏の甲子園で休養日を1日増やすことを検討するなど、球児の身体を守るための対策は進めては来ています。