2018年の「春の全国交通安全運動」は、4月6日(金)から4月15日(日)までの10日間です。スローガンは「春風に 一緒にのせよう ゆとりとマナー」となっています。
運動の基本方針は次の4つあります。
1. 子供と高齢者の安全な通行の確保と高齢運転者の交通事故防止
2. 自転車の安全利用の推進
3. 全ての座席のシートベルトとチャイルドシートの正しい着用の徹底
4. 飲酒運転の根絶
新年度になり、学生や社会人の方で新生活が始まり、新しく自転車に乗る人も出て来るでしょう。やっぱり事故には気を付けたいものですが、気を付けているだけでは防げません。
2017年12月にスマートフォンを手に持ちながら電動アシスト自転車を運転し、77歳の歩行者に衝突して死亡させたとして、神奈川県警麻生署は2018年3月に大学生を重過失致死容疑で横浜地検川崎支部に書類送検しました。
同署によると、大学生は当時、左手にスマホ、右手に飲み物を持ちながらハンドルを支え、左耳にイヤホンをしていました。直前まで操作していたスマホをポケットにしまおうと、下を向いた際に衝突したと言う事故です。大学生は「衝突するまで気がつかなかった」と話しているそうです。
さて、2013年。小学生が加害者となった自転車事故について、裁判所は9500万円の支払い命令を出しました。
2008年9月の夜。神戸の小学5年生の児童が自転車で暗い坂道を下った際、62歳の歩行者と正面衝突。歩行者は頭を強く打ち、脳挫傷の重傷。一命は取り留めましたが、意識障害、四肢拘縮の後遺障害が残りました。被害者側が裁判を起こすと、神戸地裁が自転車事故の加害者に9500万円の賠償責任命令を下しました。
裁判官は、時速20~30キロで走行していた、児童の前方不注視が事故の原因と認定。法廷で加害者の母親は、子どもには普段から注意をしていたと主張しましたが、児童がヘルメットを着用していなかったことなどから「十分な指導や注意をしていたとはいえず、監督義務を果たしていなかったのは明らか」として、保護者の責任も認めました。
子どもが起こした自転車事故は、加害者に責任能力がないとその監督義務を負う者が賠償の責任を負う、と民法714条、もしくは民法709条により責任を追及する場合があるのです。
母親が子どもに再三注意したといっても、それが客観的事実だと証明できなければ説得力がありません。裁判は結局「言った」「言わない」の証拠取りですから。日頃から交通安全に対する意識を家族で共有し、普段からフェイスブックなどSNSに頻繁に事実(日付入り)を記述しておくのも1つの方法かもしれません。
自動車の任意保険には入るけれど、自転車だと入らない人が多いです。それでも万が一、自分の子どもが自転車事故の加害者になったことを想像すれば、任意保険に入っておくというのは必要なことのような気はします。この神戸地裁の判例以降、兵庫県では自転車にも任意保険の加入を義務付けるような条例を制定しています。
ちなみに火災保険に入っている方は、保険内容を調べてみてください。あまり知られていないようですが、火災保険の個人賠償責任特約などを利用すれば、自転車事故による賠償は補償されることがあります。保険会社に確認しておくことをお勧めします。
ちなみに私は自転車保険に家族ごと入っています。