俳優の堤真一さんの主演映画「泣くな赤鬼」(兼重淳監督)が6月14日に公開されました。重松清さんの短編集「せんせい。」(新潮文庫)の一編を映画化した作品です。
城南工業野球部監督・小渕隆(堤さん)。陽に焼けた赤い顔と、鬼のような熱血指導でかつては「赤鬼」と呼ばれていました。その厳しさで、甲子園出場一歩手前までいきながらも、その夢は一度として叶わぬまま、10年の月日が流れます。今では、野球への情熱は衰え、身体のあちこちにガタもきている50代の疲れた中年になっていました。
ある日、診察を受けた病院でかつての教え子、斎藤智之<愛称ゴルゴ>(柳楽優弥さん)と偶然再会します。ゴルゴは非凡な野球センスがありながら、堪え性のない性格だったため、努力もせず、途中で挫折し、高校を中退した生徒でした。今では、20代半ばを越え、妻・雪乃(川栄李奈さん)と息子・集と幸せな家庭を築き、立派な大人に成長していました。
そのゴルゴが末期がんで余命半年であることを知らされます。赤鬼はゴルゴのために、かつて彼が挑むはずだった甲子園出場を賭けた決勝戦の再現試合を企画します。
10年という歳月を経て、それぞれの秘めた思いを胸に、ゴルゴにとって最後の試合が行われるのでした。
中学時代は野球部だったという堤さん、赤鬼先生のキャラクターは「僕も中学時代に野球をやっていて、その先生がめちゃめちゃ怖くて厳しかったんですよ。脚本を読んだ時にその先生を思い出しました」と役作りに生かしたそうです。
ゴルゴは野球の才能はあるが、周囲とうまくやれずにチームの中で浮いてしまい、野球をやめ、高校も中退してしまいます。
堤さんもゴルゴのように壁に当たるような経験について、「中学と高校で野球をやっていて、中学の最後の試合で骨折して出られなくて、高校ではやるつもりはなかったんですけど勢いで野球部に入ってしまって、結局つまんなくなっちゃったんですよね。夏休み中に辞めたら練習がきつくて逃げたと思われるので、9月に辞めようと思って(笑い)。辞めても特にやりたいこともなかったので、そこからほとんど学校も行かなくなってしまって。それで、冬休みに毎日2時間くらいしか寝ずに、全科目の課題とレポートを片付けてダーンと出したんですよ。これをやる根性があるならもうちょっと学校にちゃんと行けばよかったなって(笑い)。それから学校に行くようになって、卒業まではほぼ休みなしでしたね」と、ご自身の経験を語っています。
努力を重ねても才能の前に崩れることがあります。そして、才能があっても努力をせずに逃げいていく者もいます。
でも、努力はしないよりも、しておいた方がいいと思います。10年後に後悔しないためにもです。