昨年、日本相撲協会を退職した元貴乃花親方(元横綱)の花田光司さんが、5月19日に東京都内で記者会見し、かねてから噂に上がっていたとおり、「一般社団法人貴乃花道場」の設立を発表しました。固定の「道場」は持たず、相撲道を通じた青少年育成を目指して国内外で指導に当たるという計画だそうです。
花田さんは「世界各地にできるだけ足を運んで、日本の伝統文化を伝えて参りたい」と述べ、早速5月20日にイタリアに渡り、7月には米国ニューヨーク行きも決まっているそうです。ちなみに、これも噂されていた、夏の参議院選立候補ということは「ない」と明言しました。また、「力士になる子が増えてくれるとうれしい」と指導した子どもたいの角界入りにも期待を込めていました。
花田さん、いろいろと話題を振りまかれましたが、現役後期から協会退職までの間は、特にその言動に注目が集まりました。実際にはよくわかりませんが、あまりにも相撲に対する考え方が一途すぎるように思えます。そんな考えを持ったコラムがあります。
---------------------------------------------
私は15才で入門して以来、ひたすら相撲道を邁進して参りました。相撲界は一般の方から見ると特殊な世界のようで、未だに国技である“相撲”は完全に理解されているとは言えません。たとえば“横綱”についてですが、横綱とは「力士の中で最も強い者」「相撲という格闘技のチャンピオン」である、と解釈されている方がおられることが残念でなりません。同様に、相撲は“日本古来の格闘技”ではありません。相撲とは『神道』に基づき、男性が神前にその力を捧げる神事がその根源です。横綱に強さだけでなく、品格や厳格さが求められるのは、相撲が神事である証しといえるでしょう。横綱とは力士番付における最高位ではありますが、ただ勝ち星が多ければよい、他の力士に比べて力や技に勝り、誰よりも強ければそれでよいという存在では決してありません。
相撲の道を志すものは、「強くなりたい」という思いと同時に、「日本の伝統文化を守る」という強い意志が必要だと私は常々考えて参りました。それと同時に、相撲を通じて古来から脈々と受け継がれてきた日本文化の美学を後世に伝えていくことが、相撲に関わるすべての人間に課せられた義務であると考えております。
(後略)
---------------------------------------------
相撲道の解釈の仕方はいろいろあるでしょうけど、「日本の伝統文化を伝え、守る」という気持ち、おそらく、その優先順位が高く、守りとおそうという気持ちが強すぎているのかも知れません。
相撲の本質とは力の競い合いではなく、その時々の力と技の優劣を競うものだと。
と、過去にはいろいろありましたが、言わんとすることは分かるような気がします。
今回の道場の設立は、近年の日本は大切な多くのことを忘れてしまっている。私たちは、日本人としての誇りを持ち「日本人の心」を今一度再確認する。相撲という、日本の素晴らしい伝統文化を再確認するとともに、世界に広めていってくれるのでしょう。