「ヒットとエラーの違いについて教えてください」
(長野県 A子さん)
リクエストがありましたので、今日はその質問コーナーといたします。
プロ野球や高校・大学野球などの公式戦には、公式記録員がいます。
スコアボードに表示される”H(ヒット)"、”E(エラー)"、”Fc(フィルダースチョイス=野手選択)”は、この公式記録員が判断します。
ヒットというのは安打。バッターが打ったボールが地面に落ちる前に守備側の選手に捕られないままフェアゾーンに入って、バッターが出塁できたプレーです。
いろいろ調べた結果と私が判断するとした場合として、ご説明いたします。
一番判りやすい例ですと・・・外野へ飛んだボールが外野手に直接捕球される前に地面に落ちて、その間にバッターランナーが出塁した・・・これはヒットになります。バッターランナーが二塁まで進めば2ベース。三塁まで進めばスリーベースになります(”ただし①”がありますけど)。
内野ゴロの場合でも、野手からの送球が一塁に送られる前にバッターランナーが一塁へ到達していればヒット(内野安打)になります(”ただし②”)。
ここまでは、判りましたでしょうか?
はい。では”ただし①”の登場です。
ヒットを打ってバッターランナーが一塁に到達した後に次の塁を狙って走塁します。このとき、次の塁に到達する前にアウトになってしまった場合、その到達する前までのヒットとなります。
つまり、二塁に到達する前にアウトになればヒット(単打)、三塁に到達する前なら2ベース、本塁前でアウトになれば3ベースになります。
続いて”ただし②”です。
つまり、エラー(失策)の話です。
野手が普通に守備をしていればアウトとなるはずのプレーでアウトにできなかった場合です。または、そのプレーによって余分な進塁を与えてしまった場合です。
バッターが打った打球をグラブに当ててはじいたり(”ただし③”)、トンネルしたり、後ろにそらしたり、他の野手からの送球を落としたりしてバッターランナーが出塁したときにエラーとなります。
また、ダイビングキャッチをしたが、捕球できなかった場合、基本的にはエラーにはなりません。
つまり、普通のフライをグラブに当てて落としたのはエラーです。エラーですので、バッターにはヒットは記録されません。難しい打球を捕ろうとして、グラブに当ててしまって落としたのはヒットです。
捕球した後に悪送球して、進塁を許したプレー(”ただし④”)もエラーです。
ただし③は、打球の勢いが強くて、野手が捕球できなかったと判断すればヒットになります。
ただし④は、悪送球しなくても「アウトにはならなかった」と判断すればヒットになります。
ちなみに、ファールフライでもグラブに当てて落球してしまった場合には、その野手にエラーを記録します。
でも、その後バッターがヒット打った場合、バッターにはヒットを記録することをお忘れなく。
学童野球では瞬間的に判断に悩みますので、プレー内容と結果をメモしておいて整理しておくのもいいと考えます。
公認野球規則10・05には
「本条各項の適用にあたって疑義のあるときは、つねに打者に有利な判定を与える。」
とあります。
結論です。
ヒットかエラーかの判断に迷う時は「ヒットを記録しときなさい」ということです。
ただし、どう考えても普通にアウトにできるはずが、バッターやランナーの次の塁を許してしまった場合のプレーをエラーと考えてもいいでしょう。
判っていただけましたでしょうか?
時間が来ましたので、フィルダースチョイス(野手選択)は次の機会へとします。