「本当に世の中の文字は小さすぎて読めなあぃ!! でしょぅ? 新聞も企画書も小さすぎて読めなあぃ!!」
世界のケン・ワタナベが怒鳴るCMで話題を呼んだハズキルーぺです。世界のケン・ワタナベ以前には、西部警察署の舘ひろしさんが、見方によっては意味深なパパCMを放送していた、あの、メガネ型拡大鏡の「ハズキルーペ」です。
製品の企画・開発からCM制作まで陣頭指揮を執る経営者は、積極的なM&A(企業の合併・買収)で株式市場を騒がせたことでも知られています。
そもそも、ハズキルーペはタカラトミーから買収した企業が20年以上手がけていたルーペがありました。デザインもフレームもいいとはいえないものでしたが、あるTV番組内の通販CMでベテラン俳優を起用して紹介したところ、大きく売り上げが伸びたそうです。そこで新たにルーペの開発を始め、レンズ設計もフレームも変えて化けさせました。
買収していた会社のエンジニアを中心に自社工場で製造ラインを新設し、生産を自動化させ、1万個作って不良品は1個という水準だそうです。中国などのコピー商品はレンズがゆがむなど安かろう悪かろうで、比べものにならないといいます。
今年2月のピョンチャン冬季オリンピックの中継番組のスポンサーを務めた後、ロシア・ワールドカップでも観ました。また、アジア大会でもCMを見ています。
宣伝広告費や媒体費などで100億円以上かけた結果、店舗での売り上げが跳ね上がり、取り扱い店舗も急増し、今では全国約3万3000店舗で売り場を展開しているそうです。そして、月に数十万個のペースで売れているそうです。
「すごいぜ、ハズキルーペ」
あのCMはケン・ワタナベさんから「怒り」をテーマにするという提案をもらっていましたが、クリエーターから出てきた案では無視されていたそうです。タレントのプロモーションビデオではなく、スポンサーが商品を売るためのCMでなくてはおかしいので、「今日から俺がやる」と、松村さんが実際に手を動かしたり頭を使って考えるスタッフを集めたそうです。
それでも、出来上がったものはやはりイメージCMに近かったので、夜9時半から朝4時半まで自分でせりふを書き直しましたそうです。それに菊川怜さんの衣装も松村さんの指定だそうです。抵抗勢力があちこちにいたそうですが、総監督、監督、プロデューサーをすべてやりきったそうです。
秋からは大物若手女優や人気男性俳優を起用して、有名なTVドラマを舞台にしたCMとのことで、9月20日よりフジテレビ系「2018世界柔道選手権」の枠で放送されたのが、武井咲さん、小泉孝太郎さん、舘ひろしさん編です。
ちなみに、ハズキルーぺは「ブランドを確立するため、50億円を超す広告宣伝費を投入し、独創的なマーケティング手法と眼鏡業界に類を見ない宣伝広告費をかけています。現在ハズキルーペの販売本数は350万本を突破いたしました」とあります。また、「CM放送予定表」には「全34番組メインスポンサー」、10月からは「全43番組メインスポンサー」だそうです。
ちなみに、「報告書の文字が小さすぎる」と会社で言われるのは日常茶飯事のことです。腹いせにA3サイズで大きな文字にしたら「A4にしろ」と言われます。
私には充分「読める」のですけどね。