先日まで開催されていた世界剣道選手権・男子団体戦をBS1で生放送で観ました。
「ここで歴史を変えるわけにはいかないと思いました」
と言うのは、女子個人戦で優勝した松本弥月選手(四段)。今まで、決勝戦は日本人同士の戦いだったのですが、今大会では初めて日本人以外では初めて韓国人との対戦になりました。
剣道女子は初開催以来、団体・個人戦で優勝を譲ったことはなく、男子においても団体は2006年に優勝を逃したものの、日韓対決で直接敗れたことはないのです。
男子個人で優勝した網代忠勝選手(錬士六段)も「日本人と当たるまでは絶対に負けられないと思っていた」と言っていました。
第10回大会以来18年ぶりの日本開催、さらには第1回大会以来45年ぶりの日本武道館開催であり、日本のお家芸とも言われる剣道ですから、そのプレッシャーたるものは、想像以上だったでしょう。
男子団体決勝は韓国との対戦。
先鋒戦は日本の竹ノ内佑也選手(四段)1本(2本先取で勝ち)でまず勝ちますが、次鋒戦では韓国が面2本を連取して1勝1敗ながら、一本の数で1-2と逆転されてしまいます。
中堅戦では正代正博選手(六段)が韓国選手の猛攻を受けながらも、小手2本を決めて2勝1敗3-2と再逆転します。
副将戦は、つばぜり合いとなり、日本に注意が入ったものの、互いに譲らず引き分け。
優勝は大将戦にもつれ込み、日本は内村良一選手(錬士六段)。対する韓国選手との身長差は約20センチも小さい。
一挙一動に「おお」「ああ」という、どよめきが起きる、武道館全体が呼吸を止めなければならないような緊張した雰囲気の中、鉄壁の守りで虎の子のリードを守りきり、3大会連続の世界一の座を守り切りました。
前大会で指摘されたような、「礼に始まり礼に終わる」ようなことは、最終日の様子をTVで見る限り見当たりませんでした。
後日の新聞には「今回は決勝で惜しくも敗れた韓国男子選手たちの態度は潔く、作法も美しかった。戦い終えて退場する韓国勢にも温かい拍手が送られ、大会を通じてマナーの向上を感想にあげる関係者は多かった。3年後の世界大会の開催地はくしくもその韓国。剣道精神の充実を見せるライバルの存在は、試合でのさらなる接戦をも予想させる」と書かれていました。
また、男子個人で韓国選手に2本勝ちして会場を沸かせたポーランドのボサック選手は竹ノ内選手に敗れはしたものの、きれいな礼を残して会場を後にし、会場の隅では「竹ノ内さん、ありがとうございました」と自分に勝った相手に律義に挨拶する姿があったそうです。
日本対ブラジルの男子団体戦では、試合途中に面が取れてしまったブラジルのタケイ選手が面を付け直していたときに、使っていた手拭いが“くまモン”の手ぬぐいでした。試合後、タケイ選手は「この顔を見ると愛犬を思い出すから使っている」そうです。ただ、くまモンのことは知らなかったようで「この“パンダ”はそんなに人気なのか」と不思議だったそうです。
今、日本の剣道人口は約177万人いるそうです。しかし、世界に目を向けると250万人しかいません。
日本の柔道人口は約16万人、世界では数百万人(正確なのが判りません)いるものとは比率で逆転しています。
「剣道」が「KENDO」となり、世界中に普及するにはまだまだ時間がかかるかも知れませんが、「武士道」の心が世界に広まって行くについれて、日本を理解してもらえるようになるのではないかと思えました。
(最初のPV風動画は公式のものではなく、剣道ファンの方が作成したものだそうです)