日本代表はロシア・ワールドカップ・グループリーグ最終戦で、ポーランドに0-1で敗れましたが、セネガルとの2位争いをフェアプレーポイントの差で制し、決勝トーナメント出場を決めました。この試合決着がワールドカップ史上初であることと、その試合戦術については、いろいろと話題になっています。
そもそも、日本は試合で負けたのに、どうして勝ち上がったのか? ということをおさらいしておきます。
ポーランドと対戦する前、日本は1勝1分けの勝点4でセネガルと並び首位でした。ポーランド戦で勝つか引き分ければ、文句なく決勝トーナメント進出が確定します。日本が負けた場合には、セネガル vs. コロンビアの結果次第で勝ち上がるという可能性があったためです。
・セネガルが勝った場合→日本は2位で突破
・コロンビアが勝った場合→コロンビアが1位で日本はセネガルと4で並ぶ
日本は、得失点差、総得点、直接対決の結果でセネガルと並んでおり、仮に負けるとしても、出来る限り失点を少なくし、点差を付けられないことが重要なのです。
サッカーのワールドカップのグループ(予選)リーグの順位は、90分の試合で勝つと勝点3、引き分けで勝点1がもらえ、勝点が多いチームから順位が付いていきます。次に勝ち点で並んだ場合、得失点差で多いほうが上位となります。さらに、得失点で並べば総得点で順位を決めます。それでも同じ場合は、当該チーム同士の対戦成績で決めます。それでも順位が決められない場合、今回の日本とセネガルのような場合は、グループリーグ3試合でのフェアプレーポイント(FPP)で上回るチームが上位となるようになっています。
FPPは警告でマイナス1ポイント▽警告2枚での退場でマイナス3ポイント▽1発退場でマイナス4ポイント▽警告と1発退場のレッドカードでマイナス5ポイント。日本はセネガルより警告が少なく、これによりグループリーグ突破が決まりました。
これは、あくまでもルールで定められていることですから、ここは文句のつけようはありません。
何かスッキリしないのは、試合の終盤に他会場でコロンビアが1-0でリードしていることを知り、日本は0-1で負けていながらボールキープを選択した戦術です。西野朗監督は「納得いかない。不本意な選択」としながら、「ワールドカップはそういう戦いもあって、その選択が正解と出れば、勝負にも勝ったということ」と試合後のインタビューで語っています。
しかし、セネガルが点を取り、コロンビアと引き分けると敗退するリスクもあったのです。そのことは充分に解っていたにも関わらず、そのままの状態をキープすることを選んだことです。つまり、自分たちの力で同点とし、引き分けを狙うことよりも、コロンビアがセネガルに勝つことを願っての、他力本願の選択だったということです。試合に負けている状況をキープしているというのも納得がいかない、不本意な選択だということです。
確かに、点を獲りに行って、逆に失点してしまえば、元も子もないのも事実です。攻撃的だった、グループステージの1、2戦を考えれば、あまりの消極さに違和感があったのです。ただ、ワールドカップでは、こういう戦いもあって、その選択が正解と出れば、勝負にも勝ったということなのだと思っています。でも、なんだかんだ言えるのも、決勝トーナメントに進出できるのはありがたいことです。
今回、この特殊なルールによって、決勝トーナメント進出を逃すことになったセネガルの選手、国民のみなさんが一番悔しい思いをしていると思います。今回のワールドカップではポーランドに勝利する会心のスタートを見せたものの、その後日本と引き分け、最後にコロンビアに敗れたセネガル。最終的にはイエローカードの数によって順位が決まり、セネガルは決勝トーナメント進出を逃すことになったのですから。
セネガル代表を率いるアリウ・シセ監督は、「我々はフェアプレーポイントの差で突破できなかった。わずかな差で、セネガルは突破できなかった。なぜかといえば、我々はそれに値しなかったからだ。それはルールの一つであるのだからね。我々はそれをリスペクトしなければならない。もちろん、我々は違った形で大会を去ることを望んでいたよ。悲しいことだが、皆これがレギュレーションだとわかっていたんだ。我々は完全にコミットしていた。おそらく、だからこそイエローカードが増えてしまったのだ。セネガルの選手たちは皆強くコミットしていた。もしそれがなければ、ワールドカップでいいプレーをするのは難しい。このレギュレーションが残酷なものであるかどうかはわからないよ。しかし我々はイエローカードを避けるよう選手に求めることはできなかった。残念ながら、それは我々に対立する形で働いてしまったね」と、潔いコメントが素晴らしいと思います。
ただ、やっぱり、負けたのは悔しかったと思います。「アフリカのサッカーは大きな進歩を遂げているよ。我々は諦めない。将来には素晴らしいことが待っていると思うよ。他のチームを見れば、我々のサッカーを恥じるべきではないと思うよ。上位と他のチームの間に大きな差はない」とコメントしています。
私としては途中から2画面でテレビを観る羽目になったこと。便利機能ですが、片方の画面の音声は出ないのです。その切り替えに忙しく、リモコンを動かす指先がつりそうなくらい辛かったです。