日本における硬式大学野球の統轄組織で26の大学野球連盟が加盟しています。日本高等学校野球連盟とともに上部組織として日本学生野球協会を構成しています。
毎年、春季に春季各リーグの優勝チームによる「全日本大学野球選手権大会」(他競技のインターカレッジに相当)を主催しています。秋季には同様に秋季各リーグの優勝チームと各リーグの代表校で複数での地区代表を集めて行なう「明治神宮野球大会」(明治神宮と共催する日本学生野球協会の傘下団体として協力)が行っています。また、全日本大学野球選手権大会の優秀選手による全日本大学選抜チームを編成し、「日米大学野球選手権大会」(例年6月下旬~7月上旬に開催)や「世界大学野球選手権大会」へのチーム派遣と主催(各参加団体の持ち回り制)も行なっています。
全日本大学野球連盟が直接管理しているのはそれぞれの大学野球連盟のみで、各個別の大学野球部は全日本大学野球連盟ではなく、各大学野球連盟に所属しています。よって、各リーグ戦、運営諸規定は各連盟によって独自の裁量により決められて運営されているため、細い部分ではリーグ毎に異なっています。
所属する大学野球連盟は次のとおりです。
北海道地区
北海道学生野球連盟
札幌学生野球連盟
東北地区
北東北大学野球連盟
仙台六大学野球連盟
南東北大学野球連盟
関東・甲信越地区
千葉県大学野球連盟
関甲新学生野球連盟
東京新大学野球連盟
東京六大学野球連盟
東都大学野球連盟
首都大学野球連盟
神奈川大学野球連盟
北陸・東海地区
愛知大学野球連盟
東海地区大学野球連盟
北陸大学野球連盟
関西地区
関西学生野球連盟
関西六大学野球連盟
阪神大学野球連盟
近畿学生野球連盟
京滋大学野球連盟
中国・四国地区
広島六大学野球連盟
中国地区大学野球連盟
四国地区大学野球連盟
九州地区
九州六大学野球連盟
福岡六大学野球連盟
九州地区大学野球連盟
規定で異なるのは、主に次のようなものがあります。
・加盟チームの数や条件(加盟校数や学部、キャンパスの違いによるその可否、短大チームや女子単独チームの可否)
・登録学生の条件(一般的には入学時点で17歳以上の者で登録期間が通年で4年以内。但し高等専門学校四~五年生チームの可否、短期大学部の学生の登録可否、女子部員の登録可否などは個別規定)
・ルールオプションの細部(金属バット使用や指名打者制の採用、没収試合の条件など)
・試合運営(総当り戦かトーナメントかの選択。総当たり戦は何校で構成するのか、どのようなブロック構成にするのか、ブロック間での入れ替え戦などの実施の有無、日程編成や使用球場など)
なお、各連盟内には全日本大学野球選手権大会への出場枠を持たない連盟、リーグも存在します。全日本大学野球連盟の加盟、承認団体ではないため、各連盟内における支部的になっています。また、各連盟の枠を超えたリーグ組織もありますが、任意の団体として扱われています(仏教大学野球リーグなど)。
1947年 全国大学野球連盟と全国新制大学野球連盟がそれぞれ発足し、それぞれで王座決定戦と選手権大会を実施
戦後の学制改革によって誕生した新制大学の野球組織を統轄する目的で1947年に「全国新制大学野球連盟」が結成されました。これは戦前に存在した日本高等学校野球連盟、日本専門学校野球連盟(この2つの連盟と現在の同名の連盟は別)、日本師範学校野球連盟が発展的に解消、改編したものです。ただし、戦前からの東京六大学野球連盟、東都大学野球連盟、関西六大学野球連盟 (旧連盟)の旧制大学3連盟は独自の運営を行っており、この3連盟は「全国大学野球連盟」を結成しました。
これは大学野球の全国的な統一組織を作ろうという動きに対して旧制大学3連盟側は、戦後に設立した多くの新制大学の連盟と一緒の扱いをされたくないというプライドと、自分たちの意志の及ばない組織に独立性を脅かされたくないという伝統誇示があったと言われています。しかし、その後、旧制大学3連盟側が”理解を示して協力する”という立場で全国的な統一組織が結成されることになりました。
1952年 全国大学野球連盟へ全国新制大学野球連盟を統合する形で全国大学野球連盟(現;全日本大学野球連盟)が発足。全日本大学野球選手権大会を主催
合併に際して、新制大学野球連盟側が全国を地域別に分けた地区運営を編成していたので、若干修正した形で地区連盟としての運営となりました。旧制大学3連盟は元々独立性が高かったことと、全国組織再編で協力を請われた立場などが尊重され、地区編成には組み込まれないそれぞれ単独組織・出場権を持つことになりました。
第1回全日本大学野球選手権大会実施当時の組織
東京六大学野球連盟
東都大学野球連盟
関西六大学野球連盟(旧連盟)
北海道・東北地区(後に北部地区大学野球連盟)
関東地区(後に東部地区大学野球連盟)
東京都新制大学野球連盟
神奈川県下六大学野球連盟
※上記以外は地区に直接所属
東海地区(後に北陸を加えて中部地区大学野球連盟)
愛知大学野球連盟
※愛知以外は地区に直接所属
近畿・中国・四国地区(後に西部地区大学野球連盟)
京都六大学野球連盟
近畿大学野球連盟
四国地区大学野球連盟
※上記以外は地区に直接所属
九州地区
新制大学野球連盟から移行した連盟では、全日本大学野球選手権大会代表について、個々のリーグ戦での優勝校や上位チームが代表決定戦に出場するところもあれば、一斉トーナメントで代表決定戦を実施したり、個別のリーグ戦は行なわず代表決定戦への出場のみなど、運営方式は別々でした。また、各地区連盟(北部、東部、中部、近畿、西部、九州など)は当初は地域の有力校が持ち回りで代行したり、地区連盟内の有力校集団(固有のリーグ自体は構成、運営していても、そのリーグ単独では当時の全日本大学野球連盟からはまだ承認されていない組織)が担当していました。
やがて、そのような地区所属校の中から野球部の活動に力を入れる有力校が現れ始め、参加校が増えるに従って旧制リーグの運営や人気にあやかろうと、地区連盟内に新たなリーグ(連盟)を結成したり、リーグ戦の存在価値を高めようとする動きが大きくなりました。その為、全日本大学野球連盟としても徐々に選手権大会での出場枠を拡大する方向で地区連盟の再編や新連盟の承認(出場枠の独立)を図っていきました(全日本大学野球連盟としては、出場枠を与えていない連盟については基本的には未承認連盟として任意組織扱いであり、それは当時も現在も同じ)。
このように、当初は地域全体を統括した地区連盟(北部、東部、中部、西部、九州)も新しい連盟が正式承認されるに従って、現在ではほとんどの地区でその役割を終えています。ただし、九州地区のみは1952年の創設当初から続いたものが現在に至っており、後に独立した2連盟(九州六大学野球連盟と福岡六大学野球連盟)と共に九州3連盟の一つとなっています。
1965年 第6回アジア野球大会派遣代表チーム選考会を11月10日から5日間実施。東京六大学、東都大学、首都大学、神奈川五大学、愛知大学、関西大学連合、九州六大学の各選抜チームが参加
1970年 日本学生野球協会に協力し、明治神宮野球大会の第一回大会を開催
1972年 日米大学野球選手権大会を開始、全日本選抜チームが出場
1983年 夏季に記念行事として札幌で全日本大学選抜野球大会を単発開催
1991年 全日本アマチュア野球王座決定戦に参加
1997年 全日本アマチュア野球王座決定戦が終了
2005年 世界大学野球選手権大会に参加、全日本選抜チームを派遣
2009年 11月にプロ野球の初の交流試合となる「セ・パ誕生60周年記念U-26 NPB選抜 対 大学日本代表」を開催
2010年 7月に世界大学野球選手権 日本代表壮行試合「大学日本代表 対 NPBフレッシュ選抜」を開催
2015年 6月にユニバーシアード日本代表壮行試合 「侍ジャパン大学日本代表 対 NPB選抜」を開催
2015年 8月にU-18ワールドカップ壮行試合「高校日本代表 対 大学日本代表」を開催
2016年 8月に侍ジャパン壮行試合「高校日本代表 対 大学日本代表」を開催
ということで、次回から、いよいよ各連盟の旅が始まります。