ブルペンキャッチャーとは、野球場のブルペンでピッチャーの球を受けるキャッチャーのことです。プロ野球では選手としてではなく、スタッフとしてチームを支えています。
1984年までは試合中に「ブルペンでピッチャーの球を受けるキャッチャーは現役選手に限る」という条項があったため、ブルペンキャッチャーまたはバッテリーコーチ格の人を支配下選手登録していました。
基本的には現役を引退した選手がチームスタッフとして担当する場合が多いのですが、過去には現役復帰した選手もいます(例:千葉ロッテマリーンズ・杉山俊介さん、中日ドラゴンズ・長谷部裕さん)。また、キャッチャー出身のバッテリーコーチ(ブルペンコーチ)が兼任している場合もあります。
珍しい例としてはドラゴンズに通訳兼任の外国人ブルペンキャッチャーとしてルイス・フランシスさんがいます。
今やドラゴンズには欠かせない存在となったルイスさんはドミニカ共和国出身です。
カープアカデミー出身で1997年に初来日し、2006年まで広島東洋カープでブルペンキャッチャーを務めていました。2007年にドミニカ出身のサンティアゴ・ラミレスさんとフランクリン・グラセスキーさんを獲得したドラゴンズがブルペンキャッチャー兼スペイン語通訳として、カープから獲得しました。
もちろん、日本語は流ちょうであり、敬語などもキチンと使えるそうです。日本語があまり得意ではない平田選手以上であるという噂です。テレビの企画で「今どんな気持ちか書いてください」って言われて「今どんな気持ち」って日本語で書いたという逸話もあります。
さらに20年近い日本生活の経験を活かし、多くのドミニカ選手が来日した際の食事などの生活面もサポートしています。
また、以前ドラゴンズに在籍した204cmの長身ピッチャーのマキシモ・ネルソンさんを、当時の森繁和バッテリーチーフコーチに紹介したのが、ほかならぬルイスさんでした。他にも入団はしませんでしたが、自称163km/hを投げる経歴不詳のドミニカ人ピッチャーのエディ・リベラさんを推薦したのもルイスさんです(近所に住んでいたらしい)。オフにはドミニカ留学の案内役として、日本人選手の案内役としても活躍しています。
「私はカープアカデミー出身で、三村敏之さんが広島の監督を務めていた1997年にテストを受けたんですが、契約には至りませんでした。でも、球団から『裏方として残りたいんだったらそれでもいい』と言ってもらいまして。もともと日本の文化や教育、上下関係の厳しさが好きだったんですよ。このままずっと裏方としてやっていきたいですね」
なお、好きな漢字は「島」だそうです。それは「広島の島じゃ?」と聞かれると「いえいえ、字そのものが好きなんですよ。前の球団とは関係ないですからね(笑)」と答えています。
今年もドミニカ出身の新外国人選手が入団したドラゴンズ。活躍が期待されます。
でも、本当に貴重な戦力は、今年も変わらずに彼らをサポートするルイスさんなのかも知れません。