MLBワールドシリーズ優勝の証し「チャンピオンリング」を三つ保持する日本人がサンフランシスコ・ジャイアンツのブルペンキャッチャーの植松泰良さんです。
植松さんはプロ野球選手の経験はないものの、ピッチャー陣の練習相手として、過去5年で同シリーズを3度制覇した常勝チームを支えています。
植松さんは千葉県出身で、ドジャースなどで活躍した野茂英雄氏に憧れていた野球少年でした。西武台千葉高ではキャッチャーでしたが、公式戦への出場はありませんでした。高校卒業後は「選手の近くで野球に携わりたい」と渡米し、南イリノイ大でトレーナーの資格を得ました。そして、同大野球部で実習した際にブルペンキャッチャーを買って出たことが縁となり、監督にジャイアンツ傘下のマイナーチームでの研修を勧められました。そして、ブルペンキャッチャーとして契約し、一年後の2008年にMLB昇格を果たしました。
ブルペンキャッチャーとして心がけるのは「選手が気持ち良く試合に入ること」だそうです。捕球時はミットから音を響かせるように工夫するそうです。ちなみに、このような心がけは米国ではあまり行われていない習慣だそうです。また、投球フォームや球筋が好調時と違うと感じれば、それを伝えたり、バッティングピッチャーや雑用もこなすそうです。
ピッチャー陣の中にはブルペンでは植松さん以外のキャッチャーには球を受けさせない選手もいるほど信頼は厚いそうです。ブルペンキャッチャー冥利に尽きるものです。
MLBで仕事をする人間にとって、世界一に輝いた時に手にすることができる豪華なチャンピオンリング。これは選手だけでなく、すべてのスタッフにも配られ、チームを支えるスタッフにとっては大きな勲章になります。通訳、トレーナーやスカウトなどスタッフとしてチームを支える日本人はたくさんいます。世界一を目指して戦っているのは選手だけでないのです。
ちなみにワールドシリーズ制覇の記念に贈られるチャンピオンリングは日本人選手では過去に10人が手にしています。
1998年 伊良部秀輝さん(ニューヨーク・ヤンキース)
2005年 井口資仁選手、高津臣吾さん(シカゴ・ホワイトソックス)
2006年 田口壮さん(セントルイス・カージナルス)
2007年 松坂大輔選手、岡島秀樹選手(ボストン・レッドソックス)
2008年 田口壮さん、井口資仁選手(フィラデルフィア・フィリーズ)
2009年 松井秀喜さん(ニューヨーク・ヤンキース)
2012年 田中賢介さん(サンフランシスコ・ジャイアンツ)
2013年 上原浩治選手、田澤純一選手(ボストン・レッドソックス)