「コンピュータが日付を取り扱う際、西暦を下2ケタで処理していたため、『2000年』を『1900年』と認識してしまう」ということで、さまざまな誤作動が懸念されるという、いわゆる「2000年(Y2K:Yは年のYear、Kは数字の千を表すキロから2000年を意味しています)問題」がありました。
当時、停電、医療機器の停止、飛行機の墜落やはたまたミサイルの誤発射などの危険性が報道されたこともあり、20世紀末ムードとも相まって1999年末にかけて不安が広がりました。
そもそも、1960年代に開発されたコンピュータのメモリは128KBや256KBでした。現在、スマホですら16GBや32GBの時代ですから、容量を使わないために日付を2ケタ処理していたのが要因です。
ところが、2000年になってみても、一部では問題が発生したものの、大した混乱は発生しませんでした。それは、私たちの知らないところで、各企業のプログラマー、SEやシステム設計者が臨戦態勢で、年越しの瞬間を迎えていたとのことです。
それから20年。スマホ全盛の今も健在な古いタイプの携帯電話、いわゆる「ガラケー」の一部に、2020年になった途端、ガラケーの時間が00月00日00時00分を指して動かなくなったり、カレンダーが2000年に戻ったりする、「2020年問題」ともいえる現象が発生しました。
これは、私の友人が持っているガラケーにも発生しました。
対象になっているガラケーは現;auブランドのKDDIと沖縄セルラー電話が2000年代後半に発売したソニー・エリクソン・モバイルコミュニケーションズ(現;ソニーモバイルコミュニケーションズ)製の端末に集中。2006年に発売した「W43S」や2007年発売の「W53S」、2008年発売の「W64S」や同機種をベースにした「S002」のユーザーが対象になります。KDDIはユーザーの報告などで事態を把握していて、原因の調査や対応の協議を始めているそうです。
ただ、対象機種である「W43S」の製品マニュアルには、「日付と時刻の入力範囲は2000年1月1日から2019年12月31日まで」と書かれているそうです(他機種は不明)。つまり、製品仕様であって、一概には「問題」とは言えないと思いますが。当時のガラケーの機種変更サイクルや3G(第3世代移動通信システム)サービスの寿命などを考慮して、2020年以降もこれらの機種が利用されることはないと判断した可能性があるようですが、KDDIは2022年3月末に3Gサービスを終了することになっているので、KDDIのミスと言えばミスでしょう。
また、問題はスケジュール、アラームが使えなくなるだけではなく、通話の発着信履歴も表示されなくなってしまうとのことです。
ちなみに、友人は、そのまま「カレンダーは放置」していたようで、一応アドバイスしたのは、「年は無視して、日付けと曜日だけ一致する年に設定する」ように話しました。
1年は52週間と1日なので、7年で曜日は一巡します。しかし、途中に、うるう年があります。うるう年は52週間と2日あるので、4年と7年の最小公倍数の28年が原則的なカレンダー周期となります。つまり、28年前の1992年のカレンダー、または、28年後の2048年と2020年のカレンダーは曜日が一緒になります。
しかし、設定が出来ないようなのでいったん、1月1日が同じ水曜日の「2014年」に設定し、「2月29日については、別途考える」ことにしたようです。
2020年問題からの20年後の亡霊とも言えるかもしれません。