野球小僧

懲罰的損害賠償(ちょうばつてきそんがいばいしょう)

懲罰的損害賠償(ちょうばつてきそんがいばいしょう)とは、主に不法行為に基づく損害賠償請求訴訟において、加害者の行為が強い非難に値すると認められる場合に、裁判所または陪審の裁量により、加害者に制裁を加えて、将来の同様の行為を抑止する目的で、実際の損害の補填としての賠償に加えて、上乗せして支払うことを命じられる賠償のことです。

英国・米国法系諸国を中心に認められている制度であり、日本では損害賠償とする制度を採用していおり、精神的損害の金銭的評価について裁量が働くことが一応考えられるとしても、懲罰的損害賠償については、日本の法制度には存在していません。

特に訴訟大国と言えるかも知れない米国では、時に被害者の状況や加害者の行為を感情的に反映した過大な懲罰的損害賠償判決が見受けられます。

その中でも、「マクドナルド・コーヒー事件」では、填補賠償認定額20万ドルの80%にあたる16万ドルを本来の填補賠償額、また、マクドナルドのコーヒー売上高の2日間分に相当する270万ドルを懲罰的損害賠償額として、計286万ドル(当時の為替レートで、約3億円)の支払いを命じる評決が出ています。判決では懲罰賠償額を填補賠償額の3倍に当たる48万ドルに減額とし、マクドナルドが計64万ドルの賠償金支払いを命じる判決となりました。その後、和解が成立し、マクドナルドは60万ドル未満(非公開)の和解金を支払っています。

この事件は1992年2月、ニューメキシコ州のマクドナルドで、原告(当時79歳)とその孫がドライブ・スルーでテイクアウト用の朝食を購入。原告はその後、マクドナルドの駐車場で停車しているときにコーヒーをヒザの間に挟み、ミルクと砂糖を入れるためにコーヒーのフタを開けようとし、そのとき、誤ってカップが傾いてしまい、コーヒーがすべて原告のヒザにこぼれました。

原告はヤケドの直接的な原因が自分の行動にあることは認識していましたが、ヤケドの一因となったコーヒーの熱さは異常であり、この点についてマクドナルドは是正すべき義務があり、また治療費の一部を補償するべきであるとして訴訟を起こしました。ちなみにヤケドは第Ⅲ度(皮下組織まで傷害がおよんだもの)での重症でした。

この裁判の後、米国では同様の訴訟が相次ぎ、1998年にはコーヒーメーカーを相手取った同様の訴訟が行われ(原告側の敗訴)、コーヒー以外での商品に関するトラブル、とくに説明書における警告の不足などによって被った損害とその補填を中心にした裁判は「訴訟ビジネス」と言われてもいます。

さてさて、元;千葉ロッテマリーンズのマイク・ボルシンガー選手(現;バッファロー・バイソンズ 。トロント・ブルージェイズ傘下AAA)が、2017年にヒューストン・アストロズが行っていたサイン盗みによりキャリアを台無しにされたとしてアストロズを提訴しました。

ボルシンガー選手は、ブルージェイズに在籍していた2017年8月4日のアストロズ戦で救援登板。サイン盗みのゴミ箱音が54回鳴ったとされる一戦で、わずか29球、1/3回で4安打3四球4失点と大炎上。これがMLB最終登板となり、以降、MLBでは投げておらず、これで自身のキャリアが事実上断たれたと確信(私個人的には、何とも言えません)しているようです。

ボルシンガー選手は当時、救援としてシーズン後半の生き残りを争っていたとのことで、「自分は年齢を重ねていた。チームは若い選手を呼んだ」「あれ(アストロズ戦)がなければ、自分は下に送られなかったかもしれない。だけど、あの時点でチームは自分に対する信頼を失い、見切りをつけていた可能性もある」とコメントしています。

また、問題のアストロズ戦では、「プロとしてのキャリアで、あれより悪い登板があったか分からない」「あのとき、『自分の球種を読まれているみたいだ。前は狙ってこなかった球を狙い撃ちしてくる。まるで何が来るのか分かっているみたいだ』と話していたことを覚えている。そういうことが自分の頭をよぎった」とすると、「自分にはもうチャンスがなくなったと感じた」と、当時の試合のことについてコメントしています。

ボルシンガー選手の登板時にアストロズがサイン盗みを行って得点を重ねていたのならば、1人の選手のキャリアを台無しにした可能性があります。ただ、2017年シーズンは5月までに打ち込まれていたおり、元々不振に陥ってたという事実も否めません。

損害賠償を求めてロサンゼルス郡上級裁判所に提訴したボルシンガー選手は、アストロズの不公正なビジネス習慣と過失を訴え、ワールドシリーズ制覇のボーナスとして受け取った3,100万ドル(約34億円)を没収し、ロサンゼルスの子どもたちのための慈善活動や経済援助が必要な引退した選手に寄付することを求めているとのことです。

ボルシンガー選手はその後来日し、マリーンズで活躍することができましたが、アストロズのサイン盗みによって被害を受け減俸となった選手や、野球選手として職を失ってしまった選手がいると思います。

訴訟大国の米国でも選手対球団といった前代未聞の訴訟。

この結果によっては、今後、さらに広がっていく可能性もあるでしょう、

コメント一覧

まっくろくろすけ
eco坊主さん、こんばんは。

いったんは、MLBとして処分が決定していますので収束に向かうでしょうけど、個別の事案はこれから出てくるかもしれませんね。

MLBでは、この問題以外にもいろいろと問題を抱えているようですが、野球少年たちの将来に影響しなければいいですが。

なお、私はどうしても一言いいたいことがあります。

>法曹界に関わる難しいことはよくわからないのですが・・・
ほう、そうかい・・・ちゃらーん♪
eco坊主
おはようございます。

法曹界に関わる難しいことはよくわからないのですが私のリュックにはまだ若干の余裕があります。ちゃらーん♪(byこん平さん)
どうなるんですかね~このサイン盗みの行方は?
長引けばそれだけ野球の未来にも影響しちゃいますよね。

野球の神様、どうか、野球を楽しんでいる子供たちの未来が閉じられてしまわないようにお願いします。(-人-)
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