お待たせいたしました
いつもの懐古趣味にて
お江戸の名局の登場です
いにしえの名人の技を
とくとご覧くださいませ
【勝負を急がず、ゆっくりと差を詰める
下手打ちの見本、大きな緩攻でリズムを奪う の巻】
193手完、白中押し勝ち
三子 屋良里之子
白 本因坊道知
白はアキスミではなく
星へのカカリから打ち始める
この趣向が黒の動揺を誘い
白の緩急自在の打ち回しに
黒が次第に追い詰められていく
▲名人は、アキスミではなく、白1と星にケイマガカリ
黒2と手抜きで反発したものの、白に両ガカリされ、腰砕けの感あり
▲定石を外して黒に自力で考えさせ、結局は動揺を誘発する結果に
▲白17とアテて形を崩し、断点をはっきりさせて白19と補強
黒のヨミ筋を外し、石のリズムを狂わせるのが、上手の態度である
黒の直線的な打ち方に比べ、白の柔軟さが目立ち
中盤には大きく形勢が傾いていく(以下、略)
本因坊道知(どうち、元禄3年~享保12年) 生国は江戸。本因坊道策門下、五世本因坊、名人碁所。法名は日深。道知は、実力十三段とされる元祖棋聖・道策の実子であったとの説もある。十三歳から御城碁に出仕していた道知だが、二十歳の頃には琉球国中山王の貢使随員・屋良里之子に三子置かせて快勝している。将棋も六段格で、七段上手・因理に香落ちで勝った際には、観戦していた大橋宗桂、安井仙角らから「盤上の聖」と絶賛された。