囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

本当の仕合せ ㊦

2020年05月11日 | ●○●○雑観の森

只仏道を信じて涅槃の真楽を求むべし 

     ――正法眼蔵随聞記(1235‐38)

 

 

塙保己一の場合 の巻】

 


■江戸時代の末、

博学多才をもって世に聞こえた国学者、塙保己一。

幼少から華奢で、丈夫ではなかった。

草花を好み、非常に物知りであったが、

病のため、7歳の春に失明した。


■時は流れ、ある年の8月15日。

客を招いて月見の宴を催した際のこと。

保己一は盲目の身であったので、

せっかくの月を賞することができない。

それを悲しんで

花ならば探りても見む今日の月

と詠じた。

一座は、シンとなってしまった。

 

すると、

これを聞いた妻女が台所からやってきて

タスキを外しながら座に現れて

十五夜は座頭の妻の泣く夜かな

と吟じた。

 

お客たちは、夫婦の情愛の細やかさに

心から打たれた、という話が残っている。

 

 

 

 

 

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