只仏道を信じて涅槃の真楽を求むべし
――正法眼蔵随聞記(1235‐38)
【塙保己一の場合 の巻】
■江戸時代の末、
博学多才をもって世に聞こえた国学者、塙保己一。
幼少から華奢で、丈夫ではなかった。
草花を好み、非常に物知りであったが、
病のため、7歳の春に失明した。
■時は流れ、ある年の8月15日。
客を招いて月見の宴を催した際のこと。
保己一は盲目の身であったので、
せっかくの月を賞することができない。
それを悲しんで
花ならば探りても見む今日の月
と詠じた。
一座は、シンとなってしまった。
すると、
これを聞いた妻女が台所からやってきて
タスキを外しながら座に現れて
十五夜は座頭の妻の泣く夜かな
と吟じた。
お客たちは、夫婦の情愛の細やかさに
心から打たれた、という話が残っている。
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