囲碁漂流の記

週末にリアル対局を愉しむアマ有段者が、さまざまな話題を提供します。初二段・上級向け即効上達法あり、懐古趣味の諸事雑観あり

海坂藩をゆく夏㊥

2022年08月23日 | ●○●○雑観の森

 


アマ初段だった藤沢周平は

業界紙記者・編集長時代には

昼休みに同僚と碁を打っていた

 

相手は五段格であり

取りつかれたように

早碁で挑む

午後の仕事の時間にずれ込むこともあり

社長もずいぶん困ったらしい

 

やがて碁敵は転勤となり

好敵手を失った藤沢だが

碁にのめり込むこともなくなり

街の碁会所や文壇碁大会で

時折愉しむようになったという

 

 

 

 

遠藤展子著「父・藤沢周平との暮らし」(新潮社)より抜粋

 

囲碁は、父にとって、賭けごとではなく勝負ごとでした。目碁(めご)といって、一目いくらとお金をかける賭け碁もあるそうですが、父には関係ないことでした。

囲碁はもともと療養中に覚えたようです。清瀬の都営住宅に住んでいた頃には、住宅団地の囲碁大会に出て優勝したり、大泉学園に引越した昭和五十一年(一九七六年)頃には、日本棋院で初段の免状を頂いたりもしました。

その後はもっぱら編集者の方に相手をしてもらうか、大泉学園の駅前の碁会所に通うかしていました。碁会所に行く時間もないときには、家でひとり胡坐をかいて、左手に本を持ち、黙々と碁盤に向かっています。昼寝をしているのかなと思って、父の昼寝部屋をのぞくと、厳しい顔をして碁を打っている父を目にしたこともあります。

 

 

 



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