【「3年で六段になる」と豪語する男、ほめごろしで慢心させる男の巻】
■「会員100人余りの囲碁同好会」という規模は、なかなかないでしょう。創立三十年ほどでしょうか。最初は別荘(もう一つの同好会)の会長が、より広い会場を求めて創設したそうです。しばらくは数人から30人ほどの規模で、わたしの父もその頃の会員でした。
■今は大台に乗っており、これ以上増やすのは会場スペースからムリ。
■前会長N五段の努力などで大台に乗ってから、年に「数人ほどの退会、数人ほどの入会」があって高止まり横ばい基調が続いています。
■今は70~80代が中心で淑女紳士ばかり。毎回80人ほどが静かに打ってたのですが……。
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■ところが今春「にぎやかな若手」が入会。雰囲気が少々変わってきました。Oさんは昭和27年生まれの四つ年上。わたしより一回り大きく「身長六尺超、体重二十五貫超」とおぼしき堂々とした体格です。
■初めて見た時「あ、ルー大柴だ」と思いました。ルーは明るい名調子で、ごちゃごちゃおしゃべりしながら打っています。「わたしが時々行く京都の碁会所で、対局中にモメゴトになれば、席亭は出入り禁止にします。同好の集まりで、嫌味がなければ構わないかな」とも思いましたが、尋ねると「囲碁は黙って打つもの」という基本マナーを知らなかったそうです。
■昨年、大病をされて長くベッド生活が続いたそうで、回復してしばらく経って、そろそろ何か始めなさいと奥方様が一喝。若かかりし頃に少しかじった碁を再開してみたところ、そこではまって、入会してさらにのめり込んだ。従って「囲碁ムラの掟」の会得はこれからなのです。皆様、勘弁してやってください。
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■入会時は三段で「誤認定」されましたが、今は四段格で打っています。わたしは「五段のチカラがある」とにらんでますが、それもそのはず。毎日2時間ほどみっちり勉強していると豪語します。それもケーブルテレビ「囲碁チャンネル」を契約して一心不乱に研究しておられる。
■わたしは月2回の無料放送のみですが、それでも、とってもためになる。残念ながら、毎日視聴する時間的余裕はありません。
▼高らかに宣言するルー
「あと3年で70歳。それまでに六段になる」
「小僧(拙者のこと)に2子置かせてやる」
ビッグマウスのおもろいオッチャン
なにわコテコテ激辛おやじ
▼異議ありの小僧
「ルーさんよ、笑止千万、片腹痛いわ」
「それがしが定先に打ち込んでしんぜよう」
(ちと自信ないけど)
でも、このおっちゃん
実は、碁の才能より
ヒトとの間の「カベ」を低くする才能の方が
数倍勝っているのである
それがしの見立てでは
碁の実力だけなら六段止まりかな
ただし所作がともなわねば有段に非ず
「棋力+所作=有段」ですぞ、ルーさん
できるようになれば「次期会長」に推薦します!
▲隔週日曜日7:00~8:00、1回1局を詳細に自選解説、チョー分かりやすい
左上スミのAI定石の変化を説明しているところ。プロのアタマの中を開陳
▲こちら「アンディーヌ小柴」
こちょこちょ大好きのカワイイ九段