孤篷庵
狐篷庵を撮る。十カットも撮れば、いそいそと転がってもいける程近くのボロ屋にしけこむ。主はさる止ん事無きお方の引き出物を焼いてから、すっかり売れっ子の陶芸家。
金沢の金持ちに嫁いだ妹が珍味を時々持ってくる。ふぐの卵巣の塩漬け、蕪鮨、それに私の持参した出町の鯖寿司。ビールが勢ずむ。
やおら陶芸家は「歌おうぜ」とギターを取る。ビートルズ、吉田拓郎、森進一。色々やったあと、最後は決って「怪傑ハリマオの唄」 真夜中の紫野に雄叫びがこだまする...。
パステル画
好きで貧乏やってんねん。ほっといてんか
石原紀久生・もう直ぐ命日どす
絵は日本に二つか三つしかない国宝曜変天目茶碗を有する大徳寺狐篷庵どす。しかし今日はその話やおまへん。すぐ近くに住む陶芸家のお話どす。ほんでも癌で死んでしまいましてん。その男の口癖は「好きで貧乏やってんねん。ほっといてんか」その言葉が聞きとうて「もういっぺん言うてくれ」とせがんだもんどす。彼が言うとモノスゴー似あってますねん。
大した男ですねんで。やんごとなき御方の婚礼の引き出物を焼いた男。なんでもデパートで彼の作品を気に入らはったとか。そもそもデパートに置いてもらえる事が大したことらしおますねんで。それを鼻にかけることもなく、宣伝に使うわけでもなく「あんた、もうちょっと容量よーやりーな」ゆーたもんどす。運が向いてきかけて、ほんま短おました。
なんでも作りますねんで。中でも感心したんは急須。全くおんなじもんを何十個も作っとりましたわ。絵付けもよー筆が走って、一筆書きみたいにおんなじ模様を描きよる、しかも筆を浮かせて全く器に触れることなく、そりゃ絵描きもびっくりどす。
癌になって、みんなでお金を出し合って、医者のお医者と言われるパスツール病院で一回25万円もする免疫療法を受けさせ、僕もお寺の晋山式(住職の就任式)の引き出物に使ってくれるよう頼んだり、余命半年のところ二年半生きました。
友人に囲まれ、誰もが羨むような闘病生活をおくり逝ってしまいました。当たり前のことやけど、一人職人が死ぬんは、その技術も全部無くなるんや。
仕事場でお棺と少しの花だけの葬式。お棺の蓋は開けたまま。僕が挨拶をしました。「お金は全部闘病生活で使い果たしました。今日いただいたお香典のお返しも、もしお金を貸した人がいても、お返しは出来ません。皆さんがあの世で再会した時、請求してください」お経は友人の妙心寺塔頭の和尚さんが無料で上げてくれはりました。
☆過去の名作集弁理士の甥っ子は糞サントリーでいじめ殺れました。
☆なんかえらい高カフェインのコーヒを出しよりましたなー。今度それ描いたりまひょ。
☆頂相(ちんそう)は現在、職業病の肩甲骨痛の為、受注を制限させてもらっております。詳しくはメールでお問い合わせください。
tinsoh@yahoo.co.jp
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