忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「テロ指定」メディア

2013年04月18日 | 過去記事



風呂から出た妻が顔に何か塗る。私と倅をこき使いながら、自分はリビングの真ん中で顔に何か塗っている。我が家の夜、平穏な1日が終わるシーンだが、何を塗っているかといえば、それはたぶん、美容液とか、いわゆる「基礎化粧品」の類だと思われる。アレがいいとかコレが効いたとか、女性はなにかと大変なわけだ。

その基礎化粧品の多くにはキャスターオイル、いわゆる「ひまし油」が使われる。コレが保湿性もあり「肌荒れ防止」や「乾燥肌」にも効くとか。火傷にもよろしいそうだが、大昔はコレを飲んだらしい。少量を頓用すれば峻下剤(強い下剤)になる。

そんな便利なトウゴマの種子であるが、これを圧搾して得た脂肪油が「ひまし油」ならば、この同じ種子から毒性蛋白のリシンも採れる。こちらは猛毒で口から入れば胃腸から出血する。それから肝臓や腎臓が壊死する。悶絶する激痛に呼吸困難を伴いながら、身体硬直が起きて発汗、肺水腫、チアノーゼ、血圧降下と続き、およそ36時間から72時間で死に至る。外から注射などで入れば当該部分、それからリンパ節が壊死する。これをやられたのが作家のゲオルギー・マルコフだった。イギリスに亡命中、ロンドンのウォータールー・ブリッジで、傘に偽装した空気銃でリシンを注入されて殺された。

マルコフは「不完全犯罪ファイル 科学が解いた100の難事件」を著した。これは日本でも売られているが、いま、我々が読む推理小説、あるいは刑事ドラマなどで使われる死亡推定時刻とか、指紋とかDNA、銃の施条痕など、事件を解明する際に用いられる証拠や情報の「歴史」のような本である。つまり、科学捜査の進歩を書いている。

皮肉なことに、マルコフを殺した犯人は「完全犯罪」。科学捜査が追いつかずに捕まっていないが、今回、オバマ宛てに送られたリシンは早くも犯人が捕まった。ボストンマラソンでのテロも「容疑者特定」と出た。防犯カメラに「怪しい人物」が映っていたとか。

この科学捜査の進歩にほっとしたのは北の三男坊か。タリバンも「良いことだけどオレらじゃない」と早々と表明した。タリバンなら圧力鍋を使った釘爆弾なんか使わない、とも思われる。殺傷力も実に中途半端だ。この日はアメリカの「愛国の日」だった。連中、どうせやるなら自爆してでも、もっと大きな爆発を起こしていたはずだが、それでも密封した鉄鍋の高圧力の中で爆発、そこに釘や鋼球も入っていれば大参事にはなる。しかも「お手軽」に作れる。

だから普通、お母さんが圧力鍋でビーフシチューや野菜スープを作っている際、子供が「圧力鍋で爆弾も作れるんでしょ?」と問うてきたら「作れません、そんなの」と諭すのが常識になる。しかし、この常識がない連中がいる。NHKとかテレビ朝日だ。

信じられない話だが、この「圧力鍋爆弾」のレシピをテレビでやったらしい。「豚キムチ」じゃないんだから、材料はコレです、作り方はこうです、コレが出来上がったモノです、とやるには常識が邪魔になる。もしかすると、これも「視聴者の知る権利」なのか。

こんな材料さえあれば阿呆でも作れる代物、どういうつもりで「御紹介」したのか。そのテレビを見てメモをとり、よくわかんなくなった阿呆にも作れるよう「ネットでも作り方が詳しくあります」というフォローも付け加えていたが、もし、作ってしまって爆発させる阿呆がいるなら、そのときはせめて「モーニングバード!でみました。いやぁ、わかりやすかったです。所太郎レポーターのお陰です」とか言って欲しい。

それにしても日本のメディアは異常だ。例えばWHOは「自殺事例報道のあり方について」のガイドラインを設けている。要すれば「悲劇性を強調しない」「手段を詳細に報じない」「必要以上に報道しない」などだが、日本の、とくにテレビメディアはお構いなしだ。「練炭自殺」にせよ「硫化水素」にせよ、しっかりと「ウェルテル効果」はみられた。それをテレビは芸能人など「本人」らの所為にした。「それほど影響力があったんでしょう」とか。

ある人が精神的に病んでおり、そのどんよりとした昼下がり、ぽっかりと空いた心の穴に「自殺手段」を紹介する。入手経路も教える。「ホームセンターで簡単に誰でも買えます」と安心もさせる。それを見た弱った人が「オレも死んじまったほうが楽かも」とトリガーを引く、こんなの容易に想像できる。コレと同じく、クソ詰まらない自分の人生を持て余し、ナイフで通行人を刺し殺して死刑にでもなるか、と投げているゴミからすれば「圧力鍋爆弾」は魅力的だ。今が旬だ。自分の手を血で汚すこともなく、場所と時間を考慮すれば刺し殺して回るよりも多数の人間を殺傷できる。テレビも大騒ぎで報じてくれる。

また、トリカブトが話題になると「これがトリカブトです」とやった。日本でもあります、こういうところに生えています、と執拗にやる。まるで配偶者に保険金をかけて飲ませろ、と言っているように感じる。朝日新聞は2005年<山菜採り危険も色々>という記事で、トリカブトと食用になる「シドケ」の写真を逆さまに貼る悪戯もやった。朝日新聞の切り抜きをもって山菜採りに出掛けた人を殺す気だった。「読者の指摘」から<人命にかかわる事柄で誤った報道をしたことを深くおわびする>で済まされる問題でもなかったが、メディアには「報じない自由」がある。それこそ「必要以上に」報じることもない。

テレビの役目とは、例えば「圧力鍋爆弾」にも使える着火剤。アウトドアが増えるいまからが季節だ。コレの危険性をもっとやる。年間、数十件は事故がある。その半数は重度の火傷を伴う大事故になっている。「火がついてない」とか「火が弱い」と思って着火剤をかける。それで当然に引火爆発を起こして事故になる。その際、本人も危険だが「ジェル状」の着火剤が飛び散る周囲も危険である。とくに子供なんかは面白がって近くで見るし、自分でもやりたがる。こういうことを注意喚起するのがテレビの役目だ。このブログはネットだから書くが、例えばこれに「着火剤は黒色火薬が使われているモノもあります。これにアルミニウムを加えて密封して・・・」は必要ないと言うのだ。

今回もさすがに非難の声が出た。テレビ朝日に苦情を入れる人も出た。するとテレビ朝日は<番組に対するご指摘は、今後の放送に生かしてまいりたいと考えます>でお仕舞い。

さすがは朝日新聞の子分。いつものことだが、その親分はリシンもサリンも今のところ撒いてないが、既に北朝鮮は地上の楽園、ポルポトは「アジア的な優しいおじさん」とか、アフガンは良い人ばっかり、支那朝鮮もいいところとしてきた。その反対に日本といえば虐殺に強制連行に性奴隷に捕虜虐待。借金まみれの破綻国家で差別が横行する後進国みたいに罵ってきた。そろそろ、これ「テロ指定」できないか。



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