忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

【W杯】攻めた日本、つかんだ決勝トーナメント

2010年06月25日 | 過去記事
【W杯】攻めた日本、つかんだ決勝トーナメント

ピッチの中央に大きな輪ができた。肩を組み、飛び跳ねながら回転する。海外開催の大会で、初の決勝トーナメント進出。日本が、遠い南アで新たな歴史を作った。

 引き分けでも突破が決まる1戦。本大会に入ってから「まず守備から入る」を合言葉にしていたはずの日本が、攻めに出た。「守るんじゃない、攻めに行かないと絶対に勝てない」。試合前の岡田監督の気合が、選手に乗り移った。大久保をトップ下に置く攻撃的な4-2-3-1のシステムはうまくはまらず開始15分で過去2戦の守備的布陣に戻したが、選手の攻撃的な姿勢は変わらなかった。

 後半、デンマークがパワープレーを仕掛けてきても、常に懐にカウンターという“ナイフ”を忍ばせていた。だから3点目を取れたし、デンマークの反撃への意欲をそぐこともできた。まさに「攻撃は最大の防御」。日本は今大会で初めて、攻めて勝利をつかんだ。

 岡田監督は「正直まだまだ世界と差がある」という。「互角に攻めあえば決定力の差でやられる可能性が大きい」とも。それでも、指揮官は受けに回るのではなく、勇気を持って仕掛けることを選んだ。日本サッカーの将来がこの試合にかかっていることへの責任感と、新たな歴史を自分たちでつかみ取ろうという、強い意志の表れだった。

 「カメルーン戦の1勝で、自分たちはちょっと前に進めたと思ったけど、きょうは確かに1歩踏み出せた」と川島。ただ岡田監督は「ただ、まだわれわれの終着点はここじゃない」と手綱を緩めるそぶりはない。はるかなる「世界4強」も、攻めの姿勢でつかみとるつもりだ。(森本利優




午前4時を少し過ぎた頃、妻からメールがきた。何事かと思って携帯電話を見ると「日本人!おーおー!(日の丸の絵文字)球蹴ったら2点!日本人!おー!」とだけ書いてあった。普段なら電話をかけて大丈夫かどうか聞くところだが、おそらく今日は心配ないだろう。リビングでウトウトしていたら、テレビがうるさくなって目が覚めたらしい。日本先制点、本田のFKだ。「本田が蹴るとき、なんで外人は黙って立ってるの?阿呆なの?」と聞く程のサッカー音痴というか、スポーツ音痴、というか、大丈夫か?と思しき妻でさえ「日本が勝った♪」と喜んでいる。テレビでは朝の6時半を回っているのに、公道で騒ぎ続ける日本のサポーターを映している。

湧き上がるナショナリズム、日本人はやっぱり日本が好きなんだと思えば嬉しくもなるが、私は急に冷めてしまった。試合後、本田選手も「うれしいけど喜べない」と言った。しかし、その理由はやはり「目標はもっと先にある」という格好の良いものだった。でも、テレビを見ていた私は「北朝鮮に拉致されている日本国民がいると思うと、嬉しいけど喜べない」と言うはずもないのに少し期待した。深夜ながらも30%を超える視聴率もさることながら、今日からしばらくは繰り返しマスコミから流される本田選手のインタビューで、日本頑張れ、日本大好きという日本人に拉致問題を提起すればどうなるのかと夢想してしまう。

「ガンバレ日本」・・100名を超える特定失踪者の方々、何人いるのかすら掴めない日本人拉致被害者の方々は、北朝鮮の政治犯収容所で「日本の試合」の中継など見られるはずもない。日本人なのに日本代表チームを応援することも出来ない。魂が震えた本田と遠藤のFKも、握り拳を突き上げた岡崎のシュートも知らない日本人がいることを、日本人にはひとときも忘れて欲しくない。

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