忘憂之物

男はいかに丸くとも、角を持たねばならぬ
             渋沢栄一

「あなた」ならどうしる?

2009年10月20日 | 過去記事
■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?1

よく「実際にその立場にならないとわからないことがある」なんていう。一般社員は係長の、係長は課長の、課長は部長の、部長は社長の「立場」を「わかっているようでわからぬものだ」という縦社会、序列社会の警句である。

「上」にあがれば「その場」の視野が広がる。景色も変わる。だから「下」からあーだこーだというのは勝手だが、実際に「その立場」にならないとわからないこともあるのだと。

また、よく京橋の立ち飲み屋などで飲んでいると、「オレが監督やったら、阪神はCS出れたな。」などという冗談だと信じたい会話も飛ぶ。しかし、例えば「イチロー」が凡打した際、「オレならレフト線に転がしたのに」という人は完全に冗談だと扱われる。あの日本の至宝「遼くん」なんかもそうだろう。彼よりスコアがいいというならば、それは冗談だと認識される。つまり、「本気で考えてはいない」ということを自他ともに認めている。

「社長」はともかく、会社に勤めていたら管理職になることは、ある程度の前提となる。だから、口に出すかどうかは別として、出世欲が強く、批判が好きな者は「上のもん」のやり方に不満を感じたり、無力だと罵ってみたりもする。「オレのほうがマシ」だというわけだ。しかし、そういう奴に限って、実際の「打席」に入ってみると「メジャー級の150キロの剛速球」を前に手が出なかったりする。ようやくそこで「こんなのを弾き返していたのか・・」という現実に愕然とするのだ。こういうことは、どこの社会でもある。

たしかに「見ているだけ」では辿り着けない場所はある。ときには「何かの間違い」でそうなる場合もあるが、すぐに世の中は気付き、あまりに残酷な現実を突き付けられて淘汰されていく。社会から愛されたり、認められたり、重宝されたりする者、スポーツの名選手やトップアイドルや売れっ子芸人、優秀な企業の経営者や優れた政治家、芸術の世界で、あるいは学術の分野で、様々なジャンルにおいて秀でる者は、様々な場所で名を馳せる。

「2」だ。

■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?2

ここに日本が誇るパフォーマーがいる。日本だけではなく、世界の大舞台で名を轟かせ、あちこちのイベント関連では引っ張りダコ、桑田真澄とキャッチボールもすれば大リーグの始球式に登板もする。秋場所で優勝した朝青龍を祝ったと思えば、御夫人とともにファッションショーにサプライズゲストとして出演、東京国際映画祭の開幕セレモニーにも登場する。巨人の韓国人選手「イ・スンヨプ」と会食し、そしてついにはCDデビューを果たす。そう、我らが友愛総理、鳩山由紀夫である。ただ、この人気者、本業がいただけない。

http://sankei.jp.msn.com/politics/policy/091019/plc0910192001012-n1.htm
<鳩山首相、赤字国債増発に慎重「世論調査が指針」>

<首相は「国民は柔軟だ。マニフェストだけにこだわるのも国民に失礼な話になるかもしれない。柔軟に考える工夫が必要だ。(世論調査は)そういう指針を与えてくれた」と語った>

世論調査サマサマだ。そしてもう、今の日本の世論とはマスコミが作ると言って差し支えない。まだまだテレビの力は凄まじい。最近でも、アリバイ的にちくりとやってから全力フォローが番組構成のベースとなっている。もう、ともかく「イメージ」だ。笑ってしまうCDデビューの曲を流しながら、生い立ちからをVTRで紹介し、結婚までの「ロマンス(笑)」を挟んで、総理大臣になるまでのエピソードを繰り返し繰り返し流す。

いくら朝日新聞が頑張って売国しようとも「音と映像」で伝える「イメージ」というものには敵わない。日本のテレビ、それも「報道番組」は頬を叩いて目を覚まし、頭を振って、ちゃんと座って見るべきだ。寝ころんで呆けて見ていると思考を持っていかれる。

「3」へ

■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?3

「イメージ優先」で作り上げられた総理大臣や政権与党を評価する時、頭の中の天秤が狂わされることに気づかねばならない。あれもこれもよくわからない。良いのか悪いのか、どうなったからそうなるのか、何がしたいのか、何をしたくないのか、よくわからないから「イメージ」に逃げる。「なんか良い人そう」とか「優しそうな感じですね」という「イメージ」だけで、政治や経済のことは「あなたまかせ」、「誰がやっても同じ」と投げるのも、「誰かがちゃんとやってくれるだろう」の知らん顔は同レベルの無責任であるのだ。

お手頃価格の居酒屋に行けば、高級レストランにも行く。妻は夫を「よろしくお願いします」と言い、旦那は「妻のおかげでやってこれた」と手をつないで歩く。嗚呼、なんと「庶民的なセレブなの!」と、嗚呼、なんて「理想の夫婦なの!」と感激し、それに比べて日本の国は、何とも情けない総理大臣が続いていたのだと嘆く。漢字は読めないわ、すぐに投げ出すわ、アメリカの言いなりだわ、失言暴言ばかりだわ、官僚任せの赤字国債にバラマキ政策に弱者虐めじゃないの!と、ワイドショーで聞いた言葉を繰り返し、ようやく打倒自民党を果たし、小沢さんは怖そうだけどもしっかりしてるんじゃないの?と、今度の総理大臣は人気者ですよと、愛のテーマにハーモニー、コンクリートから人へと、いやぁ、やっぱり絆だよと、すべて「あなた」にお任せよという今日この頃、ところで、この「あなた」という呼び名、男ならばいつかあの娘に「あなた」と呼ばせてみたいものですな。

調べてみたらなんと、

「あなた」=「阿弥陀如来」だた。びっくり。

つまり、「神頼み」だった。

これまた、なるほどである。

たしかに「あなたまかせ」=「神頼み」ならば、文句は言えないのである。自分はもう何もしません、何も考えません、意見なんぞもちろんしません、ただただ、ひたすらに無私の心で付いていきますということだ。ダメだったとしても文句をいう権利はない。

「4」へ

■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?4

しかし、実のところ「考え方」はふたつだ。

例えば、話はぶっ飛ぶが(笑)、我妻に「大地震が来たらどうする?」とか「ミサイル飛んできたらどうなる?」と問うことがある。その際、我妻は「おとしゃんの言うとおりにする」と言う。妻は呑気ではあるが阿呆ではない。いざとなれば、想像を絶するリーダーシップを発揮するし、判断力も決断力もある。たぶん、私なんぞ足元にも及ばんほどだ。でも、そのような有事においては「おとしゃんに任せる」と「決めて」いる。言うまでもなく、これは「一心同体」とか「一蓮托生」などの意味を包含する「覚悟」の話だ。

しかし、もうひとつは、だ。

例えば、「次の休みの日、どこで何する?」ならば、様々な意見や希望や文句が出る。あれはこうだ、それはあれだと、まさに意見を収集するのに骨が折れるほどだ。それに食費はどれくらいが妥当か、家賃は?ローンは?将来的な計画は?などとなれば、また活発な議論がなされるのである。もちろん、私は家族に「選挙で」選ばれたわけではないが(笑)、父親であるからちゃんとリーダーシップを発揮し、様々な意見を取りまとめ、具体化したり数値化したりしながら、「家族のため」に尽力するわけだ。金もないのに一戸建ての新築を約束したりもしないし、倅の小遣いは上がらない。私がそう言っても、そんなこと家族が許さない。これは一員として参加する「覚悟」のことだろう。

すなわち、「あなたまかせ」に「せねばならない場合」と「してはならない場合」がある。ちゃんと定見を持ち(言うかどうかはともかく)、考え、参加するということだ。そして、それが及ばぬ場合、自分の考えも技量も知識も及ばぬ「できごと」に関しては「あなたまかせ」と腹を括ることになる。無論、やれるだけの努力は前提となるが、それでも人はどこかで「まかせねばならぬ」こともあろう。しかしながら、それが「国の運営」ならば、無責任では済まず、危険ですらあるのだ。そう、「任せて安心」は危険なのである。

「5」へ

■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?5

日本国民、いや、今回のクソ暑い総選挙において「民主党に投票した有権者」は「あなたにおまかせ」ではダメだ。国民主権というものは「誰に任せるのか」だけを成せばよいというものではなく、ちゃんと「選んだ責任」を取らされるということだ。それが青山氏の言う「国家の主役は国民」なのである。つまり、ちゃんと監視せねばならないのである。自己評価せねばならんのだ。

鳩山を「友愛の神」と崇めている人は考えなくてもいい。ちゃんと信心して「友愛教」を布教することに尽力なされるがよい。しかし、あくまでも議会制民主主義における選挙制度を踏まえて「日本国の政権」を選んだという民主党支持者、及び、選ばれた民主党議員、民主党党員、サポーターはちゃんと「結果」というものにに対し「責任を果たさねばならない」のである。マスメディアの「イメージ操作」による世論に感けてないで、キチンと責任を持って再評価せねばならない。それ以外の国民は「責任を受け入れる」ことが肝要となる。選んでなくとも、結果責任は等しく受けることになるからだ。

鳩山政権発足から1カ月と少し。この一連の杜撰さは「有権者の杜撰」であり「選ばれた側の杜撰」なのである。外交にしろ、内政にしろ、「本当にこれで良い」と思えるのかどうか。肯定するにしても、それは「一蓮托生」だと覚悟しての肯定なのかどうか。つまり、保身のための言い訳や、その場凌ぎの言い抜けはせず、そうだ、いまこそ「友愛」だと言い続ける覚悟があるのかどうか。開き直りであれなんであれ、初志貫徹、友愛総理が何と言うとも「財源はある」と言い続け、マニュフェスとは国民との契約だと、これができなければいつでも政治家を辞めるとまで言った友愛総理を庇い続けることだ。

例え逮捕されようとも、そのときこそ不当逮捕だ国策捜査だと言い続けてもらいたい。

もちろん、外交的にも妥協などせず、ちゃんと「歴史を直視して」謝罪賠償もキチンと成すべきだ。日韓基本条約など「愛」の前には関係ない。日中国交正常化も関係ない。鳩山は「する」と言って選ばれた総理だ。東アジア共同体も外国人地方参政権も人権擁護法案も夫婦別姓選択制度も、全部、民主党が推し進めようとする話だ。一貫して「ブレないで」いただきたい。いまさら「柔軟姿勢」も「現実路線」もみっともない。是非とも「友愛姿勢」で「友愛路線」を貫いてもらいたいものだ。

「6」へ

■2009/10/19 (月) 「あなた」ならどうしる?6

無論、ちゃんと説明しなかった候補者が悪い。これは「原因」といえる。しかし、その「責任」は有権者にもある。「言わなかった」だけでなく「問わなかった」ことも同じく、「受け入れねばならない」人からは指弾されよう。なぜなら「受け入れない」と決めていた有権者は「問うていた」からだ。「財源はある!バラマキではない!」という民主党候補に対し「それは無理だ!それは嘘だ!」と声をあげていたからである。また、「危険だ!」とも叫んでいたはずだ。そしていま、その最悪の予想が現実になりつつある。

自民党の民主党に対する「ネガティブCM」がネットで広まっていた。「僕と結婚すればなんでもできる」という友愛男に、口説かれている女性が「お金はどうするの?」と不安そうに問う。友愛男は「そんなこと、結婚してから考えるさ♪」と無責任を晒す。わかりやすいが「やり過ぎ」だという批判もあった。そんなものは、ただの悪口だと。

さて、あのCMに出ていた「アニメの女性」は今、どのような気持ちでいるのだろう。

ちょっと続きを想像してみよう。

女性:「家は一戸建てだって言ったじゃない!新婚旅行も大丈夫だって!」

女性:「生活費も老後も教育も!バラ色の人生だって言ったじゃないの!!」

友愛男:「借金するがいやなら、それらも見直さないといけないな。給料が減った分は借りないと、言ってたことをするのは難しいね。でも、きっと、キミは柔軟に対応してくれるだろ?それでも、前の男よりはいいだろ?さあ、そんなことより、ちょっと居酒屋行ってくるよ♪あっはっは♪てえぃく~~はぁとぉぉ~~♪」

ね?

男はカスだが女も阿呆でしょ?

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