今は下火になったのか、あまり聞かないが、一頃、硫化水素で自殺するのが流行った。その前は練炭自殺。テレビは「材料はホームセンターで売ってます、誰でも簡単に買うことができます」と作り方とやり方を教えたあと、ひとりで悩まないで、あなたはひとりじゃありません、と相談窓口を紹介してアリバイを作った。半笑いで電話番号はこちら、だ。
テレビなんて碌なもんじゃない、と知っている人も眉を顰めたが、それからもいろいろ、例えば2013年のボストンマラソンで「圧力鍋爆弾」が使用されると、過去のムンバイ列車爆破事件やらも紹介し、ボストンでの爆破シーンを何度か流したあと、先ずはふたを開けて火薬を入れます、と作り方をやった。
テレビ朝日「モーニングバード」だ。こんなに殺傷能力の高い爆弾が安価で簡単、お手軽に作れます、として実物の圧力鍋に釘やベアリングを投入。で、完成したものがこちらです。普通、頭が真面ならやらない。
みればキッチンタイマーで起爆装置もついている。親切にも最後は「インターネットで検索すれば作り方もあります」としてから、こんな危ないものが日本でも1万円ほどでだれでも作れる、怖いですね、と言えばOK。阿呆が勝手に作って自民党本部でも爆破しないかな、とさえ言わなければ大丈夫だ。
2005年には朝日新聞が「山菜採り 危険もいろいろ」との記事を書く。なにが目的か知りたくもないが、テレビでも散々「トリカブトはこれです。こういうところに生えています」とやっていたが、朝日新聞はトリカブトと食用にもなる「シドケ」の写真を逆さまに乗せた。朝日新聞の切り抜き持って山に入ったら殺されるところだった。
その頃、納豆が瘦せる、も有名になった。こちらは関西テレビだったか、もちろん、嘘だったわけだが、バレてみると被験者は無関係の人、アメリカの大学教授のダイエット効果が認められる、という字幕は捏造、実験に参加した8名のコレステロール値、中性脂肪値などのデータは測定すらしていなかった。頭から尻尾まで嘘だった。本当だったのは「納豆は実在する」くらいか。
福島原発事故のあと、福島県の桃が廃棄される映像を流してから「風評被害が懸念されます」も同じ手口だ。その行為自体が風評被害だと既知である。つまり、確信犯だ。東海テレビの「怪しいお米セシウムさん」の騒動も不適切なテロップが~で済むはずもなかったが、要すればテレビの人間はこういう類の連中でなければ勤まらない。
しかしながら、今回の実害は看過できないはずだ。「テレビの影響力」はまだあるのだろうし、とくに長らく続いた自粛生活で、朝から阿呆みたいなワイドショーはリビングで騒いでいただろう。私の周囲にも高校生の子に「真っすぐ、どこにも寄らず、人と話さず帰りなさい」と本気で言い付ける親がいた。わざと「モーニングショー」の話を振ると「毎朝みてる」。気の毒に過ぎる。
玉川徹は「煽りすぎといわれるくらいでいい」とのことだった。番組関係者は「ガンガン煽って、ガンガン行きましょう」とやる気を出していた。
発生源のこいつらの祖国と同じく、必ず、絶対に責任を取らせねばならない。