忘憂之物

タクシーの話

タクシーによく乗る。



飲みに行った帰り道はほとんどタクシーだ。たまには「電車のある時間」に帰ればよいだけの話なのだが、そんな野暮は言っちゃいけない。






「タクシーの運転手さん」ともよく話すほうだと思う。あーだ、こーだ、と世間話しながらだと退屈もしない。それに、感じの良い運転手さんは少なくない。あまり、腹が立った記憶もない。これからもよろしくです。



とか言ってたら、



店にタクシーが突っ込んできた。










私は全然気付かなかったが、「どんっ!」とエライ音がしたらしい。そりゃそうだ、鉄柱が飴のように曲がっているぢゃぁないか。あわわ・・・


現場に行くと騒然としていた。

幸い、怪我人はない模様。ひとまず、ほっとする。




あちこちから、ギャラリーが集まってきた。店の中からお客さんも出てきて野次馬になっている。だから、事故はいいからパチンコをしろと思いながらも、サービス精神旺盛な私は、お客さんの携帯に向かってポーズを決めてあげる。




※ガチコメ挟まれるの図







うむ。顰蹙(ひんしゅく)だな。これだから、パチ屋は・・・






「運転手さん」は、一応病院に。自分で携帯から会社とかにも電話したらしい。原因はよくわからんが、事故なんて誰でも起こす可能性がある。この「運転手さん」を責めても仕方ない。ほんと、誰も怪我がなくてよかった。





しかぁし!




「運転手さん」はともかく、その会社というか「上のもん」にはムカつくこともある。以前、こんなことがあった。








幸薄い女性従業員が「駅前でタクシーに轢かれた」と連絡を受ける。本人からだったので、怪我の具合と搬送された病院を聞いて駆けつける。なんと幸薄い。





事務員さんを伴い、病院に行くと「幸薄い女性従業員」と「運転手さん」がいた。

警察も到着していた。


「運転手さん」は60がらみの老紳士という感じか。「運転手さん」に怪我はなかった。とても丁寧な謝罪を受け、「幸薄い女性従業員」の怪我もたいしたことはないし、問題なく示談になるだろうと思った。




保険の話やらなんやら済ませ、あとは「示談成立」するだけ。直接、来社して謝罪をすることになった。だが、しかし、





来たのは「本人だけ」であった。しかも手ぶら。





おいおい・・・・と思い、その「運転手さん」に確認する。





私:『所長さんとか・・・は?』


運ちゃん:「はぁ・・・いるんですが、忙しいといわれまして・・」





ぶち。




私:『・・・・・出直してきてください。』


運ちゃん:「・・・はぁ・・・すいません・・」





事務所に電話が入る。タクシー会社からだった。





「所長」と名乗る若い声の男性(運ちゃんと比して)。




私はすぐに確認した。




私:『いつ、何時にこられますか?』


所長:「いえ、あの、示談でしょ?示談になったと聞きましたが?あとは、こちらでちゃんとしますんで、会社に専門もいますし・・・」



私:『はぁ?だれが示談だと?本人がですか?』


所長:「いえ、運転手のほうから、そう聞いておりますが?」





私:『あの・・示談になるでしょうという話ではありますよね?怪我もたいしたことないし。』


所長:「ええ。入院するほどでもないんでしょ?そう聞いてますから・・」




私:『だから、もういいと?』


所長:「いや、本人、行かせましたでしょ?」




私:『あなたは誰ですか?』

所長:「ここの所長をしておりますが?」



私:『責任者の方ですよね?あの運転手さんの上司にあたる人でしょ?』

所長:「はぁ、まあ、そうですが・・」




私:『あなたからの謝罪はしてもらってませんよね?』


所長:「・・・(邪魔臭そうに)・・はぁ・・」




私:『本人は今日休んでおりますし、当店としても迷惑を被ったわけですよね?』


所長:「はぁ、それはどうも、すいませんね。」




私:『これ、もし、示談にしなければ、あの運転手さんはタクシーに乗れませんよね?』


所長:「そうです・・かね・?まあ、しばらくはそうでしょうかね。」




私:『その間、あのおじいさんは、何の仕事するんですか?』


所長:「はぁ?わかりませんねぇ~~で、なんなんです?示談にはしないということですかね?それならそれで、会社に回しますんで・・・」




私:『もう一度、確認しますが、あなたは上司ですよね?あなたが謝ったら、あのおじいさんはタクシーに乗って仕事することができるんですよ?』


所長:「だから、示談にはしないということでしょ?はい、わかりましたから。」








ぶち。








私:『・・・・おい、あのな、犬の子や猫の子、轢いたわけやないぞ、こら?』


所長:「・・・・。」




私:『おまえが、男のカスでも、無責任の阿呆でも、失格上司でもどうでもええけどな、オレの部下、車で轢いといて、詫びにくることもせんやと?おまえ、会社なんかどうでもええぞ?オレは、おまえと話しとるんやぞ?お・ま・え・と。』



所長:「・・・・・・はぁ・・・」





-
-





しかし、







結局、その「幸薄い女性従業員」は、よせばいいのに「チンピラ」を頼ってマスマス幸薄くなった。私の「誠意ある謝罪があれば示談にしたほうがいい」という意見が気に入らなかったらしい。「治療費だけしかもらえませんか?」という言葉に集約される「欲」は、私を含めた周囲を白けさせるには十分であった。




パチンコ屋だし、私が乗り出してるし、相当な金額を「搾り取れるはず」だと期待していたのだろう。私は、その「幸薄い女性従業員」の下衆な根性に心が引いていくのを感じた。義と情の価値がわからない奴など知ったことではない。

「目先のはした銭」を惜しむ姿勢からは、「自分のために他者が尽力してくれる」という慎ましさは微塵も感じられない。




「チンピラ」に入れ知恵されたのか、元来、欲深い幸薄なのかはしらんが、ともかく、親身になって協力していた会社も私も、阿呆らしくなって放っておくことにした。しばらくして、彼女は辞めた。





風の噂では、まだまだ幸薄そうだが、まあ、がんがれ。








ところで、冒頭の「タクシー突っ込み」の営業所に店長が電話をしていた。私と比して心優しい彼ならば安心だ。今度は、タクシー会社の営業所長さんも面倒見の良い人かもしれんしな。


ん?



でも、人の店ぶち壊しておいて謝罪に来るつもりもなさそうだし、当日も「すんませんなぁ・・」の一言もなく、なんだか他人事みたいなおっさんだったというが、まあ、そこは我が社の穏やか店長。それとなく遠まわしに、なにげなく、そして、さりげなく、皮肉たっぷりに事なかれ事なかれ・・・





店長:「おまえ、来いちゅうとんじゃ、ごるぁ!!







・・・・・・・・・・・。






さっきまでクソ丁寧だったのに、相手がふざけすぎたら、即豹変www






パチンコ屋さんって、こわいなぁ・・・・(棒
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