フグの持つ毒はテトロドトキシン。青酸カリなんぞ話にならんほどの猛毒だ。毎年、何人かはこれにやられている。「フグは喰いたし命は惜しし」という諺のとおり、身も皮も美味いんだが毒はお断りしたい。また、美味いのはやはり「天然もの」であろう。そして、毒があるのも「天然もの」に限るらしい。テトロドトキシンを含む餌を喰わない養殖のフグに毒はないそうだ。▼ところで、フグはフグの毒では死なないという。とはいえ、「免疫がある」というわけでもなく、元来「毒に強い」生き物らしい。体内に毒を処理するプランクトンを生育しているからだそうだ。また、フグの神経は他の魚類と比しても構造が少し違うという。味は淡白であっさりしているが、なんの、なかなか逞しい生き物である。▼そういえば、ある意味「天然」というべき元総理大臣が処分されるかどうかという話題がある。北朝鮮でひれ酒をたっぷりと飲んだであろう山崎拓は<欠席が小泉氏だけなら、処分しないほうがいい>と述べ<小泉氏は何をするかわからない。万が一離党すると、自民党は壊滅的打撃を受ける>と「天然の毒」を恐れているようだ。▼自民党では最強の「天然の毒」を誇る小泉氏も、養殖の「毒なし」御子息が気がかりなのか、それとも「かんぽの宿」で喰ったフグの毒が今更効いてきたのか、いよいよわけがわからなくなってきた。▼定額給金を含んだ補正予算案に賛同しながらモスクワで気前よく「欠席する!」と、相変わらずの「ワンフレーズ発言」で宣言した。マスメディアは突っ込まないが、麻生総理は「笑っちゃうほど呆れた」のではないだろうか。劇場の主役だったかなんかしらんが、明らかに「もう終わった人」である。▼それにしても「総理大臣」というポジションには「毒抜き」の効果があるようだ。麻生総理もかなりの「猛毒」だったと期待するが、すっかり解毒されたかのようだ。本当は今こそ高級クラブでもどこでも行って、新たに「毒を注入」してきてもらいたい。養殖育ちの政治屋はたちまち神経をやられるだろう。