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【乳腺炎⑦】短期な入院の中で

 手術も終わり、ナースステーション隣の回復室に居ると言っても、確かにそれ程重病でもないので私は病院内をウロウロして1日目を終えました。ただ全身麻酔やっていたので、やはりおナラが出るまでは飲食禁止だったのですが、夕方にガスが出たので、その日の夕食は重湯と味噌汁が出ました。この時の重湯と具なし味噌汁は大変美味しく感じました。

 その日の夜遅くの事、急に病室が騒がしくなり、何事かと思うとストレッチャーで若い男性患者が運び込まれてきました。年の頃は私と同じ二十代位で、頭は丸坊主でボルトが付けられ、そこにワイヤーが付けられていて引っ張られていました。

 医者や看護師が病室に入れ替わり立ち替わり入っては、何やら処置をしていましたが、そこで交わされた断片的な話をつなげると、どうやら病院近くの国道で大事故があったらしく、その事故車を運転していた若者の様でした。スピード出しすぎでハンドル操作を誤り中央分離帯に突っ込んで横転、同乗者も大怪我だったらしく、運転していた彼も頚椎骨折(要は首の骨を骨折)で首から下の四肢は麻痺している状態との事。ただ残酷にも意識ははっきりしていて、ヤンキーなんでしょう、病室に来る看護師や医者に暴言を吐きまくっていました。

 この病室は回復室なので私以外は意識があるのかないのか判らない患者が2名。看護師からは「悪いんだけど、隣の人が何かあったらナースコールをしてくれる?」とお願いされ、重病でもない私は快諾しました。

 でもその日の夜中は大変でした。。件の若者は10分またずに「看護婦さ~ん!看護婦さ~ん!」と叫ぶのです。すると私は「はいはい、今呼びますね」とナースコール。すると看護師は「どうしました?」とインターフォンで返事があるので「隣が呼んでます」と言うと、看護師は直ぐに駆けつけてきます。最初の2回ほどは「何ですか?」と看護師も返事をしていましたが、それ以降は私がナースコールをすると隣の若者のベッドへ直行する様になっていました。

 若者が看護師を呼ぶ理由は「鼻の先がかゆいからかいてくれ」とか、「ほほがかゆいからかいてくれ」という理由です。まあ四肢麻痺状態なのでわからなくも無いのですが、それを暴言交じりに看護師に要求するわけです。「呼んだらさっさと来いよ!糞が!」「おせーんだよ!タコ!」。こうなると看護師も人間、言い返す様になってしまいます。

「私達も他の仕事があって、直ぐにはこれないのよ!もう明日から両親に来てもらいましょう!!」

 その夜はナースコールの代理で私も一睡もできずに朝を迎えました。看護師からは「申し訳ないわね、本当に」と言われましたが、致し方ないですよね。

 翌日の昼には若者の母親が来ていました。そこでの話も何気に聞こえてしまうのですが、この若者は19歳で無職。どうやら両親は地主か何かで資産もあるようで、19歳の若者が免許をとって買い与えたのが新型グロリア。若者はその車で毎晩毎晩、近所の仲間(悪ガキ)乗せて走り回っていた時に事故を起こした様です。

「てめぇが車買ったから、こんな事になっちまったじゃねぇか!」「死ね!くそばばあ!」。頸椎骨折しても口と頭は達者な様で、必死に看病する母親に暴言を吐き続けています。まあ突然、事故で四肢麻痺になったんだから、本人も混乱していたり母親への甘えもあるのかもしれません。でもそれを見続けていたベテラン看護師が怒鳴りつけていました。

「お母さんも必死にやっているのに、君はそれすら解らないのか!!いい加減にしなさい!!」

 さすがにこの看護師の言葉は効き目があったのか、そこから若者は多少、大人しくなっていきました。

 この日の夕方、私はこのナースステーション横の回復室から、元居た六人の相部屋へ移動となり。その2日後に退院する事になりました。退院とは言っても抜糸は翌週、血を抜くために左胸に着けているドレンはそのままでしたが。


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