七不思議の人が「新型ゲームキューブのイベントがやってるよ! 新型ゲームキューブのイベントがやってるよ!」と、顔を真っ青にして宣(のたま)っていたので、「え、新型のゲームキューブ? 任天堂の次世代マシンってこと? はたまた、こないだE3で発表になったDSのゲリライベント?」といろいろな憶測が脳内をかけめぐり、いてもたってもいられなくなった俺は、例の「六本木ヒルズアリーナ」という浮世離れしつつも俗っぽいエリアに脚を踏み入れてみた。
すると、どうだ。この光景――。
これみよがしに居並ぶ、△と○と□。
一番左の物体は、なるほど確かにある意味“ゲームキューブ”だ。
しかし、俺の脳内ではそれよりなにより<「チビ太のおでん」リスペクトイベント>ということで決着がついたんだ。
そう思うと、まるで子泣きじじぃが背中から消えたときのように、急にからだがラクになった。なんて漢気あふれるイベントなんだろう。今時「チビ太のおでん」だなんて。サークルKもクリビーだ。そもそも、「新型ゲームキューブ」なんて面白キーワード自体が七不思議のひとつだったんだ。まんまと騙された。今の気分はまるで、艱難辛苦を乗り越えデススターを撃ち落したルーク・スカイウォーカー……もとい、うにょうにょ動くアンドルフ(顔)をスーパーFXチップが処理落ちしようともみごと撃ち落したフォックス・マクラウドのようだ。
しかし、ここで一抹の不安が。
その手前左手の巨大なお椀は何だ? 興奮さめやらぬ俺は、てっきりおでんの器をイメージしたモニュメントかと思った。器の底で光っているのは、「おでんのおツユはやっぱり美味いよネ!」という心にくい味なメッセージだと思った。しかし、その予想は見事に打ち砕かれた。器の底で光につつまれながら横たわるその物体は、そう、自転車だ。あろうことか、おでんの器、しかも光るほど美味しいおツユを足蹴にして、この自転車がまるでサーカスの曲芸バイクのごとく聖域を蹂躙していたなんて……。きっと、ほんの、ついさっきまで。怒りがフツフツと込み上げてきた。
そして、怒ったのも束の間。その怒りはあっというまに別空間へと吸引された。
なぜなら、「チビ太のおでん」リスペクトオブジェクトだとばっかり思っていた肝心のメーンパビリオン郡は、近づいてみたら全然まったくこれみよがしに異なるものをモチーフにしていたからだ。
それは、何か?
結論から言おう。掃除機だ。エゲレスが前世紀に生んだ、おしゃれ掃除機、ダイソン。その歴史やら思想やらがなんとはなしに理解できるっぽい、そんなイベントだったンだ。思わず係りのお兄さんに「あっ、このダンボールでできたダイソン掃除機の初号機、TVかなんかで見たことあるッス」とか口走り、無意味にお兄さんに喜んだフリをさせてしまう始末。
フッ。それもよかろう。こんな結末こそ、人生さ。思えば、目立った企業キャンペーンに現在進行形で採用されたわけでもない「チビ太」が、こんなバブリーな空間でイベントなんてできる身分じゃないことは、百も承知していたはずじゃぁないか。
ダイソン掃除機は、そんな俺の束の間の夢と希望と友情と努力を吸い取ってくれた。それは見事な吸いっぷりだった。さすがは元祖サイクロン・バキューム。日本の白色家電メーカーがこぞってパクっただけのことはありやがる。吸い尽くされたあとには、静寂と忘却が急速に広がっていった。
まるで、はてなの悪夢を再現するかのごとく現れた楽天広場のPingが、瞬時にBLOG界から駆逐されていったかのように。
すると、どうだ。この光景――。
これみよがしに居並ぶ、△と○と□。
一番左の物体は、なるほど確かにある意味“ゲームキューブ”だ。
しかし、俺の脳内ではそれよりなにより<「チビ太のおでん」リスペクトイベント>ということで決着がついたんだ。
そう思うと、まるで子泣きじじぃが背中から消えたときのように、急にからだがラクになった。なんて漢気あふれるイベントなんだろう。今時「チビ太のおでん」だなんて。サークルKもクリビーだ。そもそも、「新型ゲームキューブ」なんて面白キーワード自体が七不思議のひとつだったんだ。まんまと騙された。今の気分はまるで、艱難辛苦を乗り越えデススターを撃ち落したルーク・スカイウォーカー……もとい、うにょうにょ動くアンドルフ(顔)をスーパーFXチップが処理落ちしようともみごと撃ち落したフォックス・マクラウドのようだ。
しかし、ここで一抹の不安が。
その手前左手の巨大なお椀は何だ? 興奮さめやらぬ俺は、てっきりおでんの器をイメージしたモニュメントかと思った。器の底で光っているのは、「おでんのおツユはやっぱり美味いよネ!」という心にくい味なメッセージだと思った。しかし、その予想は見事に打ち砕かれた。器の底で光につつまれながら横たわるその物体は、そう、自転車だ。あろうことか、おでんの器、しかも光るほど美味しいおツユを足蹴にして、この自転車がまるでサーカスの曲芸バイクのごとく聖域を蹂躙していたなんて……。きっと、ほんの、ついさっきまで。怒りがフツフツと込み上げてきた。
そして、怒ったのも束の間。その怒りはあっというまに別空間へと吸引された。
なぜなら、「チビ太のおでん」リスペクトオブジェクトだとばっかり思っていた肝心のメーンパビリオン郡は、近づいてみたら全然まったくこれみよがしに異なるものをモチーフにしていたからだ。
それは、何か?
結論から言おう。掃除機だ。エゲレスが前世紀に生んだ、おしゃれ掃除機、ダイソン。その歴史やら思想やらがなんとはなしに理解できるっぽい、そんなイベントだったンだ。思わず係りのお兄さんに「あっ、このダンボールでできたダイソン掃除機の初号機、TVかなんかで見たことあるッス」とか口走り、無意味にお兄さんに喜んだフリをさせてしまう始末。
フッ。それもよかろう。こんな結末こそ、人生さ。思えば、目立った企業キャンペーンに現在進行形で採用されたわけでもない「チビ太」が、こんなバブリーな空間でイベントなんてできる身分じゃないことは、百も承知していたはずじゃぁないか。
ダイソン掃除機は、そんな俺の束の間の夢と希望と友情と努力を吸い取ってくれた。それは見事な吸いっぷりだった。さすがは元祖サイクロン・バキューム。日本の白色家電メーカーがこぞってパクっただけのことはありやがる。吸い尽くされたあとには、静寂と忘却が急速に広がっていった。
まるで、はてなの悪夢を再現するかのごとく現れた楽天広場のPingが、瞬時にBLOG界から駆逐されていったかのように。