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7月中旬、東京・新宿駅直結のファッションビル「新宿ミロード」のレストランフロアがリニューアルオープンした。2007年以来の大型リニューアルで、日本初上陸となる飲食店も軒を連ねる。そんな中で、ひときわ目立つ店舗がある。店名は「MENSHO SAN FRANCISCO」(メンショー サンフランシスコ)。アメリカから逆輸入されたラーメン店だ。【写真】おしゃれな店内には女性の姿が目立つ
同店は2年連続でミシュランUSAに選ばれているサンフランシスコの人気店。看板商品の「A5黒毛和牛醤油らぁめん」は、サッカーの元イングランド代表のデイビッド・ベッカム氏も絶賛したラーメンだ。価格は1950円(税込み)と、ラーメンとしては非常に高価だが、7時間半かけて低温調理されたA5ランクの黒毛和牛のスライスがどんぶりを覆い尽くすように乗せられている。
あらゆるコンセプトのラーメン店を開業
逆輸入店舗であるものの、経営するのは日本人だ。オーナーの庄野智治氏は2005年に東京・市ヶ谷に「麺や庄の」をオープン。以後、野菜つけ麺の「gotsubo」(新宿御苑)やラムと豚骨を使用したラーメンを提供する「MENSHO TOKYO」(後楽園)などコンセプトの異なるラーメン店を次々とオープンさせてきた。「ラーメンクリエイター」を名乗り、固定観念にとらわれないラーメンを世に出してきた。東京・新宿にオープンした新店舗。おしゃれな店内には女性客の姿も目立つ(記者撮影)
そんな庄野氏が、満を持してアメリカへ進出したのが2016年2月のこと。サンフランシスコで、「MENSHO TOKYO SF店」をオープンした。「ラーメンを広めるには情報が拡散しやすいエリアだと考えた」(庄野氏)ことから、シリコンバレーに近いサンフランシスコを選んだという。
日本から米国に進出している飲食店は少なくない。ただ、現地でのパートナー選びに失敗し、品質を落としたり、十分な収益を確保できなかったりする店があるのも事実。ラーメン店でもそれは例外ではない。そんな中、庄野氏が率いる麺庄グループ(日本8店とアメリカ1店)では年商5億円超のうち、2億円をサンフランシスコの1店舗で稼ぎ出す。庄野氏のラーメン店はなぜ現地の人々に受け入れられたのか。
新宿ミロードの店で人気の「抹茶鶏白湯らぁめん」(税込み980円)。抹茶のほか、クロレラやケールを使用して味のバランスを整えている(記者撮影)
理由の1つは、ほかのラーメン店にはない独自色を打ち出したことだ。庄野氏がラーメンのメニューを考案するのは新たに店を開業するときだけではない。定番メニュー以外にも、創作麺を限定メニューとして数多く発表してきた。旬の食材などを使用した麺のほか、ユニークなものではバレンタイン時期限定の「チョコつけ麺」などを考案してきた。