高さ120メートルの巨大津波が火星でかつて発生していた可能性
なお、2回目の巨大津波が発生した当時の火星の気温は氷点下でしたが、火星の海は塩分濃度が高かったため液体で存在していたと考えられています。
2回目の津波で押し出された水は氷の破片になっており、この氷を分析すればかつての生命体の痕跡が確認されるのではないか、という指摘も挙がっています。
火星にはかつて広大な海が広がっていたと考えられていますが、海があったと考えられる火星の地表面に海のなごりである海岸線の痕跡が見られないという疑問がありました。
この疑問を解き明かすものとして、「34億年前の火星に巨大な津波が発生し、海岸線を飲み込んでしまった」という仮説が出されました。
国際的研究グループは、34億年前の火星で数百万年という比較的短い期間内に2度の巨大津波が発生したことを裏付ける地形を発見したことを科学誌Scientific Reportsで発表しました。
研究者らは、火星の衛星探査機の観測データを用いて火星北部の地形を分析したところ、山の斜面で斜め上方向に盛り上がるように堆積している地形を発見しました。この原因を探ると、巨大な2つのクレーターにいきついたとのこと。
このクレーターは直径が30キロメートルの隕石が衝突したことで生まれたものであると見られ、隕石の衝突によって発生した津波が、海岸線付近の岩石を山方向に押し出したため、前述の地形が誕生したと推察されています。
赤色が1回目の津波が到達したラインで
黒色が2回目の津波が到達したライン。
火星の北半球にはかつて海が存在していたと考えられていますが、一部の場所では一定の高度に沿うように発生するはずの海岸線の痕跡が見られないことが指摘されていました。
この海岸線の消失は、研究グループの提唱する巨大な津波の発生によって生み出されたと考えるのが理にかなっているとのこと。
研究グループのシミュレーションでは、1回目の隕石衝突によって発生した津波の高さは最大で120メートルにも達した可能性があると示されました。
津波で浸食された範囲は8万平方キロメートルから10万平方キロメートルと推測されています。
なお、2回目の巨大津波が発生した当時の火星の気温は氷点下でしたが、火星の海は塩分濃度が高かったため液体で存在していたと考えられています。
2回目の津波で押し出された水は氷の破片になっており、この氷を分析すればかつての生命体の痕跡が確認されるのではないか、という指摘も挙がっています。
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