スカスカのカス
2023年04月20日(木)
私は、地方行政をwatchしている方だと思いますが、これほどの愚策は見たことがありません。
スカスカのカスの「ふるさと納税」であります。
経費の割合が約5割!ということです。
オールNIPPONで税収を減らしている訳であります。
一般的に都市部から地方へ税収がシフトしていますので、誰が作ったかは推して知るべしであります。
もう大昔でありますが、ふるさと創生事業なるものがありました。これも天下の愚策でありましたが、経費がかからないので、まだマシでありました。
ふるさと創生事業
2007年12月21日(金)
最近、たまたまヒットしたものに「ふるさと創生事業」というのがあった。その中に、何と1億円全てを宝くじ購入に充てた自治体があったというのには、開いた口がふさがらなかった。
この「ふるさと創生事業」について、レポートを作成したことがある。以下にそれを掲載する。
自ら考え自ら実践する地域づくり事業について
昭和63年12月21日自治省が発表した新規施策の主題の事業(いわゆる1市町村1億円配分による事業「ふるさと創生」)については,全国の市町村に複雑な反応を呼び起こしている。手放しで歓迎のところ,使い道をどうするか困惑するところ,国からいろいろ注文をつけられるのを警戒するところ等々。マスコミの興味本位の取材も始まっている。
「ふるさと創生」論は,竹下首相の持論といわれ,一昨年の自民党総裁選に当たって出版された「素晴らしい国・日本 私の『ふるさと創生論』」(講談社)のなかで展開されている。
この本のなかで「ふるさと」という言葉は,本来の人びとの生まれ育った郷里という意味以上に自由自在に使われている。竹下首相によれば,「ふるさと」とは,「私の生まれた故郷は,今も目を閉じれば,炭焼きの煙が青空にすうっと吸いこまれる島根県ののどかな山村」という意味での生まれ育った故郷でもあり,「日本列島全体」でもあり,地球は「人類共通のふるさと」でもあるといったような,とめどもなく広く用いられている。それだけに無内容であり,政策構想全体をソフトにつつむための修飾文句だけの性格が濃厚である。「創生」という言葉も,日本語の辞書にはない意味不明のものであり,「言語明瞭・意味不明瞭」といわれても仕方ないものである。
この構想は,地方の自主性を尊重し,地域振興を支援するという売出し文句であるが,はたしてそうであるのか。
第一に,この財源に充てるとされているのは,昭和62年度決算剰余金精算分として地方交付税に追加されることとなっている1兆808億円と63年度の地方交付税の自然増収見込額1兆484億円合計2兆1,256億円のうち一部3,000億円である。
この財源は,本来地方自治体の自主財源として,国が自動的に交付しなければならない財源であり,国が恩恵的に与えるという筋あいのものではない。
「ふるさと創生」のためとして,あたかも,竹下首相の特別の配慮で授けられるというような印象をふりまく配分のやり方は,参議院選挙目当ての「全国規模の利益誘導」(「日経」社説62.12.13)といわれても仕方ない。
地方交付税法第3条にも「国は,交付税の交付に当っては,地方自治の本旨を尊重し,条件をつけ,又はその使途を制限してはならない」と定めている。
特定個人の政策名を冠して,「自由に使ってほしい」といいながら,実際は,県に推進のPRや監督をやらせ,自治省に推進本部,内閣に関係省庁連絡会議をもうけて推進各自治体から使い道について報告を求めるというのだから,地方交付税の交付の原則を無視したやり方である。
第二に,一律配分というやり方も,一見,小規模自治体ほど交付金の割合が多く配慮されているかにみえる。しかし,公共の金をつかみ金的に「自民党の派閥の領袖が子分に配るモチ代」(「AERA」64.1.31)のように配るやり方は,現行の交付税の交付が厳密な計算基準に従って,計算されるというたてまえを完全に踏みにじるものである。こういう恣意的な公金の配分は,財政の私物化ともいえるもので,許されないことである。
一方,政府は昭和60年以来すでに5兆円近くにのぼっている臨調行革に基づく補助金カットを,来年度も継続あるいは恒久化し,地方自治体への負担を強化することを行おうとしている。地方自治体首長が,「税制改革で地方財源を取り上げた口止め料(斎藤・栃木県栗山村長 「毎日64.1.29」),「余裕があるならなぜ地方への補助率カットの復元ができないのか(畑玉県知事 同上)という批判の声をあげているのも当然といえる。
次に,1億円配分を前にして,市町村ではその使い道について,いろいろの「アイデア」がだされ,マスコミの話題にもなっている。
そのなかには,兵庫県津名町のように,1億円の金塊を買って役場に展示するというような突飛な案もだされている(「読売」64.1.24)。竹下首相自身が「いい案がなければ,それを金融機関に預けておくだけでも毎年4・5百万ずつ金利がつきます」(「自由新報」64.1.3・10合併号)という調子だから,津名町のようなアイデアがでてくるのも当然である。自治省が“ソフト事業”を中心にせよと指導している点からも,イベントやプランづくりのノウハウをもつ業者が,アイデア競争に乗って儲けをせしめようと手ぐすねひいている。
以上,「ふるさと創生」は問題に満ちたものであるが,ともかく実施される運びとなった。
もともと自治体の自主財源として,住民の福祉の向上のために使われるべき財源なのだから,「ふるさと創生」事業の名で勝手気ままな無駄づかいや,企業のもうけのタネにさせるなどをしてはならない。
地方自治体にとっては,この1億円が配分されてきた場合,住民要求をまとめて,真に地域の振興に役立つ支出とすることが重要になってくることはいうまでもない。すでに,この配分金をねらって「ソフト事業」のノウハウをもつイベント企業,PR企業,計画づくり企業が手ぐすね引いているということも伝えられている。この1億円の財源は,竹下首相が恩恵的に地方自治体に分け与えるというような性格のものではなく,地方自治体に本来配分されるべき公金であるのだから,地方自治体は,これを竹下流「ふるさと創生」の宣伝普及に使わせず,住民の総意に基づく有効な活用を行う必要がある
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