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「競馬」「秋深き」

2010年02月03日 | 読書
たぶんはじめて織田作之助を読みました。もしかしたら20歳前後の乱読期にひとつくらい読んだことがあるかもしれませんが、覚えていません。

太宰治の「津軽」の本編冒頭部を思い出しました。
「正岡子規三十六、尾崎紅葉三十七、斎藤緑雨三十八、国木田独歩三十八、長塚節三十七、芥川龍之介三十六、嘉村磯多三十七。」
「それは、何のことなの?」
「あいつらの死んだとしさ。ばたばた死んでいる。おれもそろそろそのとしだ。作家にとって、これくらいの年齢のときが、いちばん大事で、」


織田作之助三十三(昭和22年)
太宰治三十八(昭和23年)

「津軽」は昭和19年の作品。
太宰治は、織田作之助の死に接し、何と語ったのでしょうか。
「競馬」は昭和21年の作品。
終戦の翌年、没年の前年です。

映画「秋深き」の原作は、「秋深き」というよりむしろ、「競馬」なのですね。
「秋深き」の方は、エピソードを少し借りただけ、という感じでした。
きっと、恋愛映画のタイトルが「競馬」では、集客が難しいからでしょう。

成熟と青春のごちゃまぜ感が、この時代ならではなのかもしれません。
この頃は、歴史ブームだそうで、坂本龍馬が持ち上げられたりしていますが、ふざけんな、それは違うだろうという気がしています。
坂本龍馬はいいのです。
作られた歴史に満足するな、ということです。
賢い若者は知っています。
例えば、「バガボンド」の宮本武蔵こそがリアルなのだと(もう古いのかもしれないけど・・・)。

坂本龍馬や太宰治や宮本武蔵と同じように、織田作之助もしっかり生きています。
原作を読んでみて、それがわかっている池田敏春監督は偉い!と改めて思いました。

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