今回は次の点について意見を述べたいと思います。自治会が退会者に対してごみの受入れ拒否をする行為は、自治会員が任意団体である自治会からの脱退の自由を事実上、制限するものです。自治会員の思想・信条の自由を侵害しているということから考えて、ごみ受入れ拒否をする行為は違法ではないでしょうか。
平成20年4月3日最高裁で、「自治会費に上乗せして寄付金を徴収するとした総会決議は違法」の判決がありました。以下は地方自治判例百選【第4版】(別冊ジュリスト2013年 有斐閣14頁)の抜粋です。
判旨に「本件決議に基づく増額会費名目の募金及び寄付金の徴収は、会員の地縁団体により、会員の意思決定とは関係なく一律に、事実上の強制をもってなされるものであり、その強制は社会的に許容される限度を超えるものというべきである。このような内容を有する本決議は、Y自治会の会員の思想、信条の自由を侵害するものであって、公序良俗に反し無効というべきである」とありました。ところで、事実上の強制するものとは、『被告Y自治会が平成16年5月ごろ、自治会未加入者に対して①市からの配布物を配布しない。②災害、不幸などあった場合、協力は一切しない。③今後新たに設置するごみ集積場やごみステーションを利用することはできない対応をすることを三役会議で決定していることからすると、会員の脱退の自由は事実上制限されているものと言わざるをえない』ということです。
福津市においては、1丁目自治会が、自治会脱会者に対して証拠書類(No.37-1に掲載)
に示しておりますように、Y自治会と同様な対応をしています。しかも証拠書類とほぼ同じ文書を1丁目自治会員の全戸に回覧して、自治会脱会の自由を事実上制限しています。このような行為は最高裁の判例により、自治会会員の思想・信条の自由を侵害していて、公序良俗に反し違法です。また同じことが、福津市の46%の自治会で行われていることは、極めて深刻な事態と受け取っています。
2018年12月「市長との対話」の席で、市長が「資源ごみの分別収集を市が自治会に依頼しなくなったら、自治会を脱会する人が増えるので困る」との発言がありました。市長は”自治会に委託している資源ごみの分別収集が、自治会会員の脱会を事実上制限する強制力をもっていることを認識している”と理解しました。
最後に審査会に訴えます。福津市内には地方自治法第10条第2項の福津市の役務をひとしく受けることの出来ない多くの人達がいることを念頭において、審査して戴きますようお願い申し上げます。