令和4年8月1日付けで、福津市監査委員(榎本 博、灘谷和徳(敬称省略))宛てに「福津市教育委員会が㈱長大に委託した福津市学校施設等整備計画策定業務に係わる不当な公金の支出について」の住民監査請求書を提出いたしました。監査請求期間(令和4年3月末)を過ぎていましたが、地方自治法242条第2項注)の「ただし書きの正当な理由」に該当すると解釈して、このことを監査請求書に記載いたしました。
しかし、同年9月9日付けの通知書で、監査委員は請求の要件を審査した結果、地方自治法第242条に定める住民監査請求としての要件を欠いているとして、同法第5条に定める監査を実施しないこと、即ち却下を通知してきました。
監査委員のいう要件を欠いているということは、請求人は当該行為があった日から1年以内に監査請求をしなければならないところ、その日から1年を経過した後に請求していることです。また、請求人が主張する1年を経過した理由が同法第242条第2項注)の「ただし書きの正当な理由」に当たらないということでした。
しかし住民監査請求の「ただし書きの正当な理由」は次の要件を満たしていれば、通常認められると解釈されています。
①請求の対象となる行為が客観的に見て、市民が相当の注意力をもって調査しても、その行為を知ることができなかったこと。
②請求の対象となる行為の存在及び内容を知ることができたと解される時から、相当の期間内に住民監査請求を行っていること。相当の期間とは、おおむね3ヶ月以内です。
㈱長大への委託金の支払いが不当な公金の支出であると知ったのは、情報公開条例に基づき令和3年12月21日付けで「福津市学校施設等整備計画策定業務委託仕様書」、業務委託報告書の代替品としての「福津市学校施設整備計画(令和3年)」等を入手し、福津市教育委員会の大嶋教育長をはじめとする主要メンバーから聞き取り調査を実施した4月20日以降でした。当然この住民監査請求は受理されるものと考えていました。その後、請求人は監査事務局を通じて監査委員に対して正当な理由について詳細な説明を求め続けていますが、現在まで何の返答もありません。
残念ながら、この住民監査請求は却下されましたが、これまでに得た情報と欠けている情報の公開を求めて行政不服審査請求を行い、この事件の全貌を把握することにしました。次回はこのことについて述べていきます。
注)地方自治法第242条第2項:
前項の規定による請求(住民監査請求)は、当該行為のあった日又は終わった日から1年を経過したときは、これをすることができない。ただし、正当な理由があるときは、この限りでない。