小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

再掲 / 谷川俊太郎詩集から

2024年11月20日 | 句ほか
 カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている
ニューヨークの少女が
ほほえみながら寝がえりをうつとき
ローマの少年は
柱頭を染める朝陽にウインクする
この地球では
いつもどこかで朝がはじまっている

ぼくらは朝をリレーするのだ
経度から経度へと
そうしていわば交替で地球を守る
眠る前のひととき耳をすますと
どこか遠くで目覚まし時計のベルが鳴ってる
それはあなたの送った朝を
誰かがしっかりと受けとめた証拠なのだ



 

飢えも貧困も病も戦争もない、そんな時間がずっと流れていてほしいものだ。カムチャッカの若者にも会ってみたい。
 

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