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小父さんから

ミーハー小父さんの落書き帳

訃報:山崎豊子さん88歳 「白い巨塔」「大地の子」 毎日jp

2013年09月30日 | その他
 山崎豊子さん=玉置勝巳写す 
 

  


毎日新聞 2013年09月30日 13時51分(最終更新 09月30日 14時18分)
社会性のあるテーマに切り込んだスケールの大きな作風でベストセラーを生み続けた作家、山崎豊子(やまさき・とよこ、本名・杉本豊子=すぎもと・とよこ)さんが29日、心不全で死去した。88歳。葬儀は近親者のみで行う。自宅は堺市西区浜寺昭和町3の391。

 大阪・船場の商家に生まれた。1944年、京都女子専門学校(現京都女子大)国文科を卒業して毎日新聞に入社。大阪本社調査部を経て45年、同学芸部に移り、副部長(デスク)だった故・井上靖さんから新聞記者の手ほどきや作家としての資質を見いだされた。

 新聞社勤務の傍ら、生家をモデルに10年を費やしたデビュー作「暖簾(のれん)」を57年に刊行。翌年、大阪女のたくましさを描いた「花のれん」で第39回直木賞を受賞したのを機に、毎日新聞を退社し、作家に専念した。

 パリを舞台にした「女の勲章」(61年)の取材中に元同僚と結婚。旧家の遺産相続を扱った「女系家族」(63年)、大学付属病院を舞台に医学界の暗部にメスを入れた「白い巨塔」(65年)をはじめ、閨閥(けいばつ)政治と資本の癒着を追及した「華麗なる一族」(73年)など、実地調査と取材に基づいて社会問題に切り込む長編小説を相次いで発表した。

  
 

 その後も、シベリア抑留を扱った 「不毛地帯」 (76〜78年)、日系2世の兄弟の悲劇を描いた「二つの祖国」(83年)、中国残留孤児の数奇な運命をたどった「大地の子」 (91年)の戦争3部作で社会派作家としての評価と人気を不動のものにした。

 93年、「大地の子」などの印税を基に「山崎豊子文化財団」を設立し、日本に帰国した中国残留孤児の子供の学資を援助した。

  


 日航ジャンボ機墜落事故を素材にして200万部を超えるベストセラーになった「沈まぬ太陽」(99年)の後、「山崎豊子全集」(全23巻)を05年に完結させた。

 09年には、外務省の機密漏洩(ろうえい)事件を基にした「運命の人」を刊行し、同作品で同年の毎日出版文化賞特別賞を受賞した。作品の多くが映画、ドラマ化され社会的な反響を呼んだ。






 山崎豊子さんの作品にはいろいろと衝撃を受けたな~。この中で読んだ本は、「沈まぬ太陽」、「運命の人」、「花のれん」の三冊だけだが、映画「華麗なる一族」(万俵大介 - 佐分利信、仲代達矢に田宮二郎が出演)には権力を手にしていく男の公私を、唐沢寿明が主演したテレビ「不毛地帯」も毎週夢中で観ていた。

 「沈まぬ太陽」の本で出会った時、主人公の恩地元がとうとう仕事のないアフリカに飛ばされ、猛獣のハンティングのシーンなんてその場に居なければ感じられない、描けないようなくだりを読んだ時には山崎さんの文章の凄さを感じたものだ。

 「運命の人」は半分くらいは文藝春秋の連載で読んだが、毎月10日の発売日が待ち遠しかった。沖縄本島の離れ小島のまた離れで生活している主人公にも臨場感があったな。吉本興業の創業者をモデルにした「花のれん」は痛快だったことが記憶残っている。

 むしろ男の仕事場みたいな作品しか読んでいないので、「女の勲章」と「女系家族」はどんなタッチなのか読んでみたくなった。

 天寿を全うされた山崎豊子さん、どうぞ安らかにお眠り下さい。



  



追記:余録:「あなたはうんと詩を読んだらいいですね」。…

毎日新聞 2013年10月01日 00時22分
「あなたはうんと詩を読んだらいいですね」。ある女性記者にデスクはこう勧めた。戦後間もない小紙の大阪本社学芸部、デスクは後の作家・井上靖(いのうえ・やすし)、女性記者とは同じく山崎豊子(やまさき・とよこ)さんだった▲後に井上の代表的短編になる「猟銃」の原稿を発表前に読ませてもらい、「詩のような小説ですね」と感想を述べたのも当時の山崎さんだった。いわば新聞社においてはコラム子の大先輩にあたるお二人だが、いやはや身近なところにもすごい時代があったものである▲「あなたはおそらく生涯、原稿用紙と万年筆だけあればいい人なんだ。臆(おく)せず書くことですよ」。こちらは新聞社を離れた山崎さんへの週刊新潮の名編集者、斎藤十一(さいとう・じゅういち)の助言である。そう背中を押された連載「ぼんち」が山崎さんのプロの作家としての出発点となる▲「白い巨塔」「不毛地帯」「大地の子」「運命の人」。常に時代を代表する話題作を世に送り続けた山崎さんが亡くなった。先の斎藤に言われた「芸術家に引退はない。書きながら柩(ひつぎ)に入るのが作家だ」との言葉そのまま、週刊新潮に「約束の海」を連載中の訃報(ふほう)だ▲「小さい山も、大きな山脈も、断崖絶壁もあった」。そう振り返る作家生活の底に流れていたのは、戦争で亡くなった同世代の友への思いだったという。「今も友達の顔が浮かぶ。生き残った者として何をなすべきか。書くものの根幹にはいつもその問いがあった」▲執筆を牢獄(ろうごく)にたとえた山崎さんは長編が仕上がると「完結! 出獄!」と叫んだという。物語でしか描けぬ時代と人間の真実を苦行僧のように書き続けた作家は今、天国の友と何を語らっているのか。
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4 コメント

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小父さんへ (颯颯(さっさつ))
2013-09-30 16:46:14
山崎豊子の社会的テーマの作品、「白い巨塔」から「運命の人」まで全て読ませていただきました。
なかでも「大地の子」がいちばん印象に残っています。
着想から執筆終了まで8年の歳月をかけたといいますし、中国の取材や資料の収集など大変な苦労をし、盗作問題などもありましたが、命がけで作品を作ってきたと言われていました。
司馬遼太郎も作品のテーマに関する文献などが神田の古本屋からごっそりなくなってしまうと言われていました。
私の愛読書の作家がまたいなくなりました。
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颯颯(さっさつ)さんへ (小父さん)
2013-09-30 20:24:47
今、NHKのニュースでも、渡辺謙、唐沢寿明両氏のコメントと「沈まぬ太陽」のハンティングのシーンなんかも交えて報じていましたね。

うひゃ~!あの長編ばかりの本を全部読まれたんですか。
私も最近の二作品を読み終えた時、ふ~っやっと読み終えたという感じでした。確か「大地の子」なんかもかなり長いんじゃーないですか。
それだけに、読み応えはあるでしょう。

>なかでも「大地の子」がいちばん印象に残っています。

なんだか受けるイメージが暗そうでテレビだったかも観ていません。

>命がけで作品を作ってきたと言われていました。

なるほど。

「沈まぬ太陽」も日本航空なり、ジャンボジェット機墜落のご遺族なりの取材に困難を極めたことが山崎さんご自身が語っていましたね。
確か、恩地元とアフリカで会ったのが書くきっかけになったと思いましたが。
そのモデルとなった小倉寛太郎氏を兄貴は知っているそうですが、
社長になっても不思議じゃない優秀な人材だったみたいです。
この取材記、ネット上の赤旗に載っていたように思います(笑)。

>司馬遼太郎も作品のテーマに関する文献などが神田の古本屋からごっそりなくなってしまうと

なるほど、皆それほど調べるわけですね。
ウィキペディアにはパリが舞台の「女の勲章」を描く時、「体調不良であったため、パリとポルトガルの取材に行くことが出来ず、パリの描写は畳2帖大の地図のみで書いた」
と記してありますね。

>私の愛読書の作家がまたいなくなりました。

私はあのような長編はもう読む元気がありません!
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Unknown (ree)
2013-10-01 00:06:56
白い巨塔はリメイクでありましたよね?
それを観ましたし、不毛地帯や華麗なる一族も面白かったですね~。
本も何冊か読んでます。
ご冥福をお祈りします。

前記事の許されざる者は私も見たいです。
が、これもまた日本のテレビでやるのを待たなくちゃ(笑)。
本当に映画を見に行く時間は全くないし、テレビでやるのを見つけたらラッキーって状態です。
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reeさんへ (小父さん)
2013-10-01 00:25:16
白い巨塔の映画は田宮二郎で1966年に撮られていますね。
あと主演が佐藤慶でテレビで1967年に全26回。
1978年にテレビで田宮二郎で全31回。
1990年にテレビで村上弘明で2回。
2003年にテレビで唐沢寿明で21回。
2008年、テレビMBC・KIMJONGHAK PRODUCTION制作。(主演:キム・ミョンミン)は韓国で放送されたんでしょうね。

白い巨塔 (ラジオドラマ):1965年、文化放送制作。(主演:田宮二郎) - 初のドラマ化作品ってのも載っていますね。

こんなに作られたのは忠臣蔵か、織田・豊臣・徳川の戦国時代の話ししかないのじゃーないですかね。

私も今、初めて確認して驚いています!

>前記事の許されざる者は私も見たいです。

これ製作・配給:ワーナー・ブラザース映画だし、なかなか日本のテレビでも放映されないのじゃーないですか。
半年くらい経ったら、レンタルビデオ屋さんに並びませんかね。
それもフロリダではチャンスは少ないですかね。

>テレビでやるのを見つけたらラッキーって状態です。

本当です。
私もテレビで録った映画で観ていないのが20本くらいたまっていますが・・・(笑)。
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