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仏像と私

2016年04月27日 05時30分37秒 | 慈しみと悲しみと

                     長野県更埴市 長雲寺 愛染明王

なぜ仏像を選んだのですか。なぜ仏像写真を撮ろうと思ったのですか?

仏像写真展や、マスコミの取材では必ずというほど受ける質問であるが、それには私の少年時代からの様々な体験が重なっていて、ひと言では言い表せない。

十代のころから京都や奈良の仏像には惹かれていたし、二十代で最愛の家族をガンで失ったころ、仏教やカトリックに出会った体験も大きい。少年の頃、父は毎朝ナムアミダブと仏前で唱え、母は般若心経をよく唱えていた。信仰心の篤い家庭に育ったことが根底にあるのかもしれない。

マスコミなどの取材では私的なことを抑えていた。勤めていた銀行で、お金に纏わる様々な人の業とか苦悩を目の当たりにしていたたまれず、仏像のお顔や姿かたちに安らぎを求めていたのかもしれないと話したこともある。

仏教は慈悲の宗教、キリスト教は愛の宗教とよく言われる。人のこころというのは、喜怒哀楽様々な場面で蠢くものである。特に打ちひしがれた時には、信仰のかたち、祈りの情景を求めたがる。

そういうときに、慈悲深い仏像のお顔が人のこころを安らぎへと導いてくれる。私のライフワーク仏像写真のテーマであり、タイトルでもある「み仏の慈しみと悲しみと」そのものである。

 



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