ハチの家文学館

ハチの家写真館(http://hachinoie.exblog.jp/)の文芸版

祈りの情景

2019年10月25日 10時47分57秒 | 慈しみと悲しみと

           福岡県前原市 雷山大悲王院 千手観音立像

私のセカンドライフは、仏像写真家として「信仰のかたちと祈りの情景」をテーマにあちこち訪ねることである。

もともと十八の時からカメラが趣味だった私は、京都や奈良の神社仏閣に憧れて、モノクロ時代から寺社の風景に興味があった。

真っ先に感動したのは、中学の修学旅行で京都三十三間堂の千一体の千手観音と対峙した時だった。初めての仏像群に圧倒されて、身震いした経験はいまでも忘れない。

十数年前、朝日・読売・神奈川・中日・静岡・タウン紙の新聞各紙、NHKテレビ、月刊誌などの取材を受けた時、「なぜ仏像写真を撮るのか?」とよく聞かれたことがあった。その時には直前まで銀行の仕事で目の当たりにした、お金に纏わる人間の苦悩を切っ掛けにしたようなことを話したりしていたが、実のところ心の奥底に京都三十三間堂の千手観音の仏像群があり、両親の神仏信仰の姿を見て育ったこと、若くして妻を亡くしたときの辛い体験等があって、私の心の中に自然と信仰心は芽生えていた。

また、亡き妻が入院していた頃、病院近くのカトリック修道院のシスターと知り合い、亡くなる1週間前に亡き妻が洗礼を受けたことも大きな出来事だった。以来、カトリック教会でのマリア像の前での祈りは欠かしたことがない。

神仏の分け隔てなく、「信仰のかたちと祈りの情景」は私の永遠のテーマであり、生かされていることの証を体感できる安らかなる時空のひとときである。

 

 



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