『松原さん、って東京から取材に来た男の人のこと覚えてます?』
『……』
『ハンバーガーストリートって云うブログを書いてる人だけど……
2006年だから、一昨年の夏頃?』
『そう言えばそんな兄ちゃんおったなあ』
§ § §
<ちょっと時間を戻しまして先日の大阪取材最終日のこと>
本当に「長~い」長居公園脇の歩道を歩きながら周りのお店
チェックをしていると、なに、この通り?食べ物屋といえば
チェーン店のオン・パレードやないの!
まず始めにコレ
二番目にコレ
三番目にコレ
四番目がコレ
とどのつまりがコレ
そんな不思議(田舎者から見れば)な界隈を過ぎ更に歩き続けると
歩道橋下に目指すその店は確かに存在した。
表のメニュープレートをじっくり観察し、ドアを開けると
『どう、注文決まった?』
てな挨拶?から「おっちゃん」との会話が始まった。
ガラス張り故、店内からも外の様子が丸見えなのだ、観察しているつもりが
じつは、しっかり観察されていたようです。
『なんにするん?』
『ボンバーガーセットにオレンジで』
汚れてはいないが年期を感じる造作、金は掛けて無いなあ。
まあ、色使いが明るいから「ファストフード店らしい」と言えばそうだが。
店内飲食スペースと注文カウンター&厨房が対面型だ。
バーガーを作りながら店主一人で「客あしらい」が充分可能な広さ。
そうかこれが「ボンバーガーチェーン」の型式なのね。
「BGM」も無い店内、暫し無音状態が続く……スムージーに続き、程なく
プラプレートに乗った「ボンバーガーとフライドポテト」がサーブされてきた。
『そんな撮り方じゃあ、あかんな』
(かなんナア、そんな「突っ込み」入れられたん私のブログ人生初めてや。
いきなり「テンション」下がったがな)
『このソース、変わってますねえ、なに使ってますの』
『内緒やなあ……企業秘密』
『強いて言えばタマネギ』
(まあ、それは私でも解りますわ、今しがた食べたばかりやし)
そんな、会話が続いた末に冒頭の話である。多分彼の記事は
読んで無いだろうとCopyしてきたブログの「記事」を渡す。
結構な時間を掛けて読んでいた「おっちゃん」
『彼らしい書き方やなあ』と一言。
(へえ、本当に覚えてたんや)
『彼、どうしてる?』
『会社員してますけど』
『そやろナア、一寸詳しゅうなると怖くなるんや
ズブの素人の方が案外成功したりするんやで』
(あれっ、営業ですか)
(因みに「彼」はプロ以上に詳しいと思いますけど、この業界)
『あんなぁ、大企業の決算書、読めるように成ったら解かるで』
(そらそうでしょうねえ)
『本当はナ、ここ何年か前が勝負時やったナア』
(ほほう、そうなんや)
『インターネットもやりたいんやけどなあ、いま5万位で出来るやろ』
『ハイ』
『でもなワシ、機械音痴やねん』
(そういう落ちかいな)
私は終始、聞き役、一切反論はしませんです。
「おっちゃん」それでもしゃべり続けてくれるから「楽」・いや、楽しい取材に成りましたワ。
正味20分位の間にも、お客さん2組、一人は常連らしい「兄ちゃん」
もう一組は「新規顧客」のおばちゃんがテイクアウト。
「おっちゃん」各々、しっかりフォローしてました。
バーガーもさることながらフライドポテトもまっとうなお味。
「マクドの横で商売出来る」ちゅうのもまんざら「大口」では無いと
解りました。
なにが強い言うても「おっちゃん」の話術には敵いません。
お歳をお聞きしてビックリ!今年60歳には見えませんです(若杉)
今年30年目の「ボンハンバーガー」道頓堀の「くいだおれ太郎」も流し目で羨ましそうでした。
ってこれは私の妄想。
--shop data--
店名:ボンハンバーガー
所在:大阪市東住吉区湯里2-19-11(Yahoo!地図)
電話:06-6703-4835
営業:10:00~22:00(未確認情報)
定休:無し(要確認)
最寄:地下鉄谷町線・駒川中野駅徒歩15分
が、大都会の中の小さなお店のこと故、話題に揚がることも少なかろうと思う訳です。そんな次第で貴殿の雑誌に「後の始末」を期待して宜しかったでしょうか(笑)
ちなみに店主には二年続けて年賀状を送っており、そして本年は(全く意外なことに)お返事をいただいております――いや、ホントびっくりしましたよ。
いや、三十年は伊達じゃないですよ。いや、「イタチ」でもないですよ?「湯里」とか「針中野」とか、素敵な響きの地名とも相俟って、忘れがたいお店の一つです。なぜこういうお店がもっと取り上げられないのだろうと、私はすごく不思議に思いますね。