日経225 38460 2024年6月15日

385万円を放置するとどうなるか?

食と健康 聖路加国際病院 日野原 重明

2020年08月20日 18時30分42秒 | メンタルヘルス
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jhep/36/1/36_60/_pdf 

人間が生きていくための必須条件は下記の 4 項目と言えよう。 1.呼吸と循環 2.水分と栄養、すなわち食の補給 3.運動 4.睡眠 この中の第 2 の「食と健康との関係」が私の講演の中心である。 上に挙げた 4 つの要因の中で食が大切であることは言うまでもないが、人間の血液に酸素と栄養が なければ人は生きていくことはできない。そういう意味で、食事は最も大切なものである。 食餌の成分としては、必要な総カロリーとバランスのとれた栄養素が必要だということになってい るが、バランスのとられた食品内容についての知識はかなり進んでいるが、その人には何キロカロリ ーが必要かという、エネルギー源となる摂取総カロリーのとり方の高齢者年齢別の基準がないことが 問題である。日本の食品摂取量は 70 歳以上の老人の適正量が未だ発表されていないのである。75 歳、 85 歳や 90 歳、100 歳以上の老人の栄養所要量は発表されていない。ところが高齢者の摂取カロリー については、米国の老年医学者のジョン W・ロー博士を班長とするマッカーサー研究がある。彼は加 齢とともに総カロリーを低下させることが長寿の条件と近年発表している。 日本では昔、84 歳まで健康に生きた(当時は 80 歳以上を長寿者とした)貝原益軒(1630~1714)は腹 8 分目に摂取することを勧めたが、ロー博士の研究ではこれも過量のようである。 

マッカーサー研究のマウスを使って、更に猿までも使っての観察では、むしろ低カロリーを長寿の 条件とするというデータが発表されている。例えば、ご馳走をたくさん用意してほしいだけエサをと らせたマウスと、少量のエサしか与えなかったハングリー・マウスとを比較すると、ハングリー(低カ ロリー)にした方が寿命が長かったことが分かり、人間にもこのことが適用されるという学説である。 私は現在 97 歳であるが、65 歳以上からは 1 日 1300Kcal の摂取に止めている。私の基礎代謝量は 1200Kcal であり、残りの 100Kcal で、私は現役通りの医療活動、講演旅行、そして午前 2 時までの 著作活動をし、翌朝は 6 時 30 分の起床で 5 時間以内の睡眠にとどめてきた。現在私は身長 164cm、 体重 62Kg、腹囲 88cm でメタボリック症候群には適合しない。 しかし、私はタンパク質 1 日 50-60g はとり、一動物性脂肪や糖質は節し、ただオリーブ油のよう な良性脂肪は 1 日に 15 ミリグラムを常用している。朝食は、牛乳 200ml、コーヒー、ジュース、オ リーブ油のみ、昼食には牛乳 200ml と小型クッキー2 個、夕食は約 800kcal とし、十分の魚や脂肪の 少ない肉でタンパク質をとり、ビタミンのバランスをとるため、有色野菜を大皿いっぱいとっている。 私はジムで運動する時間がないので、原則として建物や駅のエスカレーターには乗らず、階段を急い で登るのが私の運動である。 最後に健康とは病気のない状態をいうよりも、たとえ慢性の病気や加齢による退行現象が生じても、 朝目覚めた時に感じる健康感こそが健康そのものであると思う。これは幸福感と同様な意義を持てることを最後に述べたい。



コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 歯医者さん、コロナを見抜く... | トップ | ケルセチンと亜鉛がコロナ対策 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

メンタルヘルス」カテゴリの最新記事