キセルⅩ(kiss sell x)の活動

様々なカルチャーを通して生きていく活動日記

Raspberry story

2008-03-06 20:42:17 | Weblog
東京へ出てきた理由。
それは、ただただ「本当」がほしかった。感じたかった。
埼玉の秩父で育った私は、ただの田舎もので、狭い世間と狭く苦しい現実に縛られ、ここまで生きてきた。
そう「生きてきた」のだ。
故郷には思い出したくも無い過去が眠っている。

地元の近くを通ることがあって、近くを通ったらめまいがした。
私にとっては、なにかもの凄いパワーがとぐろを巻いて、見える。

だから、仕事なんて何でも良かったのだ。
自分に出来る事といえば、料理くらいしか思い浮かばなかった。
しかも、田舎から出てきた少年を住み込みで雇ってくれる所なんて。。。

中学3年の夏休み
皆が、中学最後と遊んでる頃。
皆が、受験勉強に励んでる頃。
私は一人密かに、上京の準備を進めていた。
東京である人物に出会い、上京を約束した。

親は当然、高校に進学する物と思い込んでいたが、そこは私も役者を頑張って演じた。
受験は成功した。
親は喜んだ。
入学の手続きを済ませた。
中学を卒業した。
次の日に私は家から消えた。

今でも忘れない、あの頃
悔しさと爽快感と悲しみが一気に襲ってきて、くしゃくしゃになった顔で、故郷にさよならをしたことを。
電車の車窓から見える景色がやたらとくすんで見えたことも。

故郷のくすんだ山々と渋滞のテールランプが重なった。
「ビーー」
という終わりのベルが、クラクションが私を現実に引き戻した。
ついつい、セフィーロのステアリングを握る手が汗ばんでいた。

首都高速渋谷の入り口が見えた。
横にいる、千春はぐっすりと寝ていた。