ゴールデンウィークも始まったが、相変わらずコロナウィルスにより引き籠り生活だ。 有り余る時間を活かしてSkyWatcherドブソニアン用に光軸調整用レーザーコリメーターを自作してみた。
事の発端はキッチンにあった直径25mm位の厚手の紙筒。昔から丸い筒を見るとついつい望遠鏡パーツに使えないかと考えてしまう癖がついてしまっている。接眼部に丁度良さそうなサイズで、前から欲しかったレーザーコリメーターを作ることにした。すぐにamazonでレーザーポインタ用の赤色レーザーモジュールを発注。
少年時代にタイトルは不確かだが”屈折望遠鏡の作り方”のような屈折望遠鏡製作のガイドブックを買った。 紙で作る望遠鏡の製作法が述べられており、ジャンク市で買った単レンズやアクロマートを使ってケント紙などの厚手の紙を大量に巻いて望遠鏡を数台作った。
対物レンズとしてD=50mm、 f=500mm程の単レンズを色収差軽減のために25mmに絞って、自作三脚に載せて結構普通に望遠鏡として楽しめた。口径25mmの屈折に更にファインダーを搭載してたことを思い出しても笑える。
- 紙製レーザーコリメーターの製作 -
本コリメーターは、極めてシンプルな構造で、対象となる望遠鏡はトラス構造を持つ、あるいは斜鏡面が外部から見ることの出来る望遠鏡用です。光軸修正方法も斜鏡を見ながら行うものです。
外部から斜鏡が見えない望遠鏡に関しては、市販されているレーザーコリメーター同様、コリメーター筒部にレーザー光路が見えるような窓を設ける必要があります。
✔ 準備するもの
1、紙又は加工可能な筒(塩ビパイプ等): 外径25mm~30mm、長さ100mm~150mm程度
2、赤色レーザーモジュール(amazonで2個で1200円程度で入手可)
3、電源: DC3V~6V(乾電池または外部電源を利用)
4、木ねじ3本(先端は軽くやすりで処理)
5、アルミテープ(100円ショップのキッチンコーナーで入手可)
6、画用紙等
✔ 製作手順
Step1: まずは紙筒にレーザーモジュールを装着する作業。レーザーモジュールの先端10mm程を画用紙でグルグルに巻き(途中から糊付け)、筒の内径まで巻いたらキツく紙筒に押し込む。
Step2: Step1で紙巻して押し込んだ部分を支点として、レーザーモジュールの後部(コード側)を3本の木ねじで押し・引きしながらレーザーの出射方向を調整する。そのために紙筒の先端(右端)部を図のように紙でグルグル巻きに糊付けし、最低5mm程度の厚みを確保する。出来上がったら3方向からドリルでガイド穴を開け、レーザーモジュールをめがけて木ねじをねじ込む。
Step3: もう片方の紙筒の先端は接眼部にガタ無くきちんと挿入できることがポイントとなる。十分な長さ(50mm程度)を持たせ、糊付けしながら紙でグルグルきつく巻く。スムースにガタ無く挿入できる様になったら、仕上げに100円ショップで売っているキッチンの水回り用のアルミシールを少しづつ巻き、きちんと遊びなくドローチューブに挿入できるようにして完成。
Step4: モジュールの電源としてパーツ屋に売っているDCジャックを取り付けて終了。DC3V~6Vで綺麗に光ってくれる。私はCelestron社のPowerTankに取り付けて使用。乾電池モジュールでも可。
ー 作り終わってみて
大雑把に作ってみたが、必要パフォーマンスは出せそうである。 但し、レーザーポインターの点像で有るべき出射像は、10m程度では広がらないものの、若干いびつな米粒上をしており(レーザモジュールの筐体と光源が分解できるか不明)、厳密な光軸合わせでは限界があることを示している。
✔ 光軸調整
出来上がったコリメーターを使って早速光軸調整を以下のStepで行ってみた。
準備作業1: (おおよその斜鏡の位置合わせ)
準備作業として、接眼部中央部から斜鏡を覗き、主鏡がほぼ中央部に位置し、対称に見えるよう粗調整を行っておく。この粗調整を行う事で光軸は合っていても主鏡がケラれて星像が悪化することを防ぐ。
準備作業2: (斜鏡のセンター部へのマーキング)
実物大の斜鏡の型紙をパワーポイント等で描画し、製作(プリントアウト)。その際に、本斜鏡はオフセット取り付けされているため、図の公式に従い、楕円の中心部より、4mm程長径上にずらしてマーキングを行う。
予め型紙上にマークをいれておき、1mm程度の穴を開ける。鏡面を傷つけない様注意しながら、型紙を斜鏡にそっと当て、穴開き部からから油性マジックでマークを付ける。図は、GOTO12"用のパターン例で短径が70mm。
Step1: (レーザーコリメーターの出射角調整)
レーザーコリメーターを接眼部に挿入し、斜鏡の中央部のマークにレーザー光が照射されるよう3本のねじで調整。
Step2: (斜鏡部の調整)
次に斜鏡からのレーザー光が、主鏡の中央部のマークにあたるよう斜鏡を調整。
Step3: (主鏡部の調整)
主鏡からの反射光が再び、斜鏡の中央部マークに戻ってくる様に主鏡の光軸調整部を調整。
Step4: 完了
この光軸修正法のポイントは、斜鏡の中央部のマークで、コリメーターからの出射光がどの向きに出ても、要は斜鏡の中央に来れば、それ以前の調整等は必要ない。
但し、鏡筒部とドローチューブの取り付け精度はきちんと考慮しないと、ドローチューブの繰り出し位置により光軸がずれることになる。今回は調整ネジをフラットの状態で確認したが特に問題は無さそうだった。
実際に使用した結果、こんな大雑把なつくりでもかなり良い精度で光軸が合って気持ち良い星像を見せてくれた。 ただトラス構造ゆえに、望遠鏡を傾けると若干の光軸ずれが発生していることが分かった
さらに操作性に関してはまだ改良の余地がある。斜鏡を見ながらの作業は快適とは言えず、コリメーターの出射光の方向微調整はまだ策がありそうだ(例えばレーザーモジュール右端を紙で巻いてモジュールの全体長を長くした上で3本ねじで調整するようにすれば更に微調整が楽になる)。